時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

花 * Flower * 華 ―四季を彩る―@山種美術館

別趣味に行っていたので、着いたのがお昼ぐらいで、まだお昼を食べていなかった。まず真っ先にCafe椿へ。
実は、Cafe椿の和菓子を制作している菊家が店舗改装で休業に入ってしまい、和菓子制作はして頂けるものの、数に限りが出てしまう。なので、お昼に着いたのに、展覧会用の和菓子は全部売り切れ。ただ、特別な和菓子&グッズセット(後述)はまだ残っていたのと、「散椿があります」。
…それ、こないだ食べられなかったやつ!
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というわけで、お昼として美肌梅にゅう麺(美肌よりも梅がポイントで)と、散椿(今回はコーヒーと合わせる)。

目にも舌にも美しい和菓子でありますなあ…。
なお、別として春限定和菓子も出た模様。観に行った日もあったのかな(ちゃんと説明聞いてない)。

さて、今回はこちら。
www.yamatane-museum.jp
昨年は桜だったけれど、今回は「花」(昨年の春の展示会は下記)。
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実は今回はこんな企画も。
www.yamatane-museum.jp
まさかの乙女ゲームとのコラボ企画。このゲームで菱田春草横山大観がイケメン化しているのね。
Cafe椿のグッズセットはこちらのゲームのグッズ。…流石に和菓子食べたいだけで、グッズまで貰うのはちょっと…ね。
観に行ったのが日曜だったので、もしかしたら少し客層違うのかな、と思ったのだが、そちら目当てっぽい方もちらほらいたけれど、でもそこまでは、という感じ。土日でも混んでない山種美術館は健在。

本題。
第1室、いきなり入り口にあるのは酒井抱一「月梅図」。この時点で書き手キラー展示会。1年前の展覧会で魅入った絵だよ…。
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今回の第1室の展示は四季なので、春の桜から初春の梅へ、という流れなのだが、一番最後の展示のはずの梅を入り口に持ってきた。上手いな山種美術館よ。

春の多くは桜。昨年の桜展示会で見た絵が多い。でも、綺麗でもう一度見たい、と思う絵が多く。
渡辺省亭「桜に雀」石田武「吉野」。そして奥田元宋奥入瀬(春)」を思う存分。
今回初めて見た絵でいいな、と思ったのは、小茂田青樹「春雨」。雨に滲ませてるのがいい感じで。→追記。「春雨」の花は桜でなくて海棠だった…失礼致しました。あと、稗田一穂「惜春」。稗田一穂は「朧春」を前に見ているんだが、夜桜を幻想的に描かれる。
変わっていて印象に残ったのは、川崎小虎「春の訪れ」。幻想を飛び越えて、凄いファンタジーな感じ。今回、修復後初展示なんだそうで。


一方、春だからって桜とは限らない、とばかりに、奥村土牛木蓮」に、小倉遊亀「憶昔」の山吹。
そして牡丹。今回唯一撮影可能だった菱田春草「白牡丹」は、どちらかといえば花は地味なんだけど、小さく飛んでいる白い蝶が綺麗。
そして個人的なキラー、渡辺省亭「牡丹に蝶図」。渡辺省亭の牡丹は本当に美しくて…溜息しか出ない。

そこから夏へ。色々な花の絵があるのだが、個人的に小林古径「萼」が気になった。「萼」は紫陽花の萼。
秋もバラエティに富んでいたけれど、個人的なツボは酒井抱一「秋草図」。「菊小禽図」よりこちらが好きかな。
そして冬。冬…というか初春の梅。竹内栖鳳が「梅園」と「松竹梅のうち 梅」を。これ、描き方が全然違うのだが、どっちも素敵。「梅園」は可愛らしく描いてるし、「松竹梅のうち 梅」はスタンダードな日本画の梅なんだけど、いいんだよなあ…。
松尾敏男「朧春」は枝の描き方が素敵で、変わっているのは牧進「寒庭聖雪」。雪を所謂雪の結晶で描いてる。これはこれでアリだなあ…。

さて、第2室は「花と人」。
上村松園の2つの絵と、伊東深水吉野太夫」は、上村松園の展覧会で見ている。
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上村松園「桜可里」は上述の桜の展覧会でも観ているし、菱田春草「桜下美人図」もそこで見ている。見てはいるけれど、上村松園「桜可里」菱田春草「桜下美人図」と並ぶと良いなあ…となり、更に渡辺省亭「御殿山観花図」が並んでいる。
渡辺省亭は花鳥画が有名だが、昨年の加島美術での渡辺省亭展で見た「小松曳」では女性を描いていた。
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細面で儚げそうな女性。今回の「御殿山観花図」も細面で、松園や春草とはまた違った魅力があって、この並びはとてもずるい。眼福。

というわけで、大変満足な展覧会。恵比寿駅と美術館の間の、明治通りの桜もとても綺麗だったし。
次回の山種美術館速水御舟かあ。「炎舞」出るし行くんだろうなあ。