時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

ザ・フィンランドデザイン展 自然が宿るライフスタイル@Bunkamura・ザ・ミュージアム

www.bunkamura.co.jp

たまたま平日にお休みが取れて、平日は渋谷に出るチャンスなので。


INTRODUCTION「フィンランドへようこそ!」
今回の展覧会なんだけど、フィンランドは1917年に独立したので、それ以降のデザインの話になる。
で、最初の導入章では、第二次世界大戦から数年後の観光ポスターや、1940~50年ぐらいの写真が。トーベ・ヤンソンが水辺ではしゃいでる写真とか拝見できるよ(そこ?)
ニュストロムの観光用ポスターは、特設ショップのグッズにもなってた。フィンランドの特産物(サーモンとか熊(の毛皮)とかw)が詰まってて、可愛いんだよね。


CHAPTER 1「オーガニックなイメージ」。
有名どころはアルヴァ・アアルトかな。先日、展覧会もあったものね(拝見できなかったけど)。建築家として有名だけれど、インテリアもガラス製品も作成されている。
インテリアというか椅子はアルテック社、ガラス製品はイッタラ社がライセンス保有してるのかな。
www.iittala.jp
ガラス製品だとこのシリーズ。
www.artek.fi
そしてこちらの椅子が出ていた。「結核患者のためのデザイン」というのがいいなあ。
もう1つの椅子はイルマリ・タピオヴァーラのドムスチェア。
www.artek.fi
重ねて収納できるのもポイントだそうで。
で、この章でもう1つ気になったのは、ドラ・ユングの「ティンバー(木材)」テーブルクロス。やはり布は気になる…。
ドラ・ユングはタンペッラ社のデザイナーだったんだね。タンペッラ社自体がもうないのだけど。


CHAPTER 2「機能的なデザイン」。
キッチンとか食卓に並ぶあれこれ、かな。
まずはアイノ・アアルト。アルヴァ・アアルトの妻。
ボルゲブリックシリーズ。
www.iittala.jp
こういうデザイン。ボルゲブリックはフィンランド語で「波紋」。このデザインだと、プレスガラスで発生しやすい気泡が目立たなくなるんだそうで。1932年のデザインだから、丁度世界恐慌真っただ中か…。物資も多くなかったかもしれない。
あとは陶器かな。クルト・エクホルムの「AH」シリーズも、カイ・フランクの「BAキルタ」シリーズもとてもシンプル。
BAキルタシリーズはシンプルで、色の組み合わせも自由にして良い、というコンセプトだったそうで。このシリーズではないけど、カイ・フランクの現在扱われているシリーズも、とてもシンプル。
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CHAPTER 3「モダニズムのアイコン」。
今までの展示物はどちらかというと機能的なデザインだったけど、ここはがっつりアート系、要は飾ることにしか使えそうにない作品(おい)。
アート系なので基本的に感じろ系だけど、グンネル・ニューマン「花瓶「オランダカイウ」」は美しいなあとか(オランダカイウ=カラー。花自体が綺麗なデザインだよねえ…)、タピオ・ヴィルゥカラ(ウィルカラという表記もあるみたい)「イソシギ」は小型のものが可愛かったり。
展示としてはその辺とは離れたところにあったけれど、「ウルティマ・トゥーレ(世界の果て)」シリーズは美しかったなあ…。
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※こちらだと表記は「ウルティマ・ツーレ」だけど。
氷表現なのでちょっと冷たそうだけど、実用もできそう。
陶器だと、フリードル・ホルツァー=シャルバリの「ライス・ポーセリン」のシリーズが植物の葉のイメージなのかな、シンプルで素敵だったり、キュッリッキ・サルメンハーラの、東洋の茶の湯とかで出てきそうな肌の色の陶器とか。
後は、布物かな。ウフラ=ペアタ・シンベリ=アールストロムのラグは暗い色なのになんか落ち着いた。ライラ・カルゥトゥネン「凍ったグラス」も格好いい。
でもってここでも出てきたドラ・ユング。「テーブルクロス(大きな魚)」の魚の顔が可愛かったり、更に灰色地に孔雀柄の「不滅(孔雀)」。孔雀、欧州…というかキリスト教なのかな、永遠の意味合いがあるんですな。
…ちょっと別方向に思念が飛びかけたけど(あ)、でもこの孔雀デザインはいいなあ。
その展示とは少し離れたところにあった「テーブルクロス(葉)、モデル872」も幾何学模様みたいで素敵だった。


CHAPTER 4「絵画のように」。
この章はテキスタイルが主。フィンレイソン、タンペッラ、そしてマリメッコ
フィンレイソンは同時期に京都文化博物館で展覧会が(少々気にはなってた)。
www.bunpaku.or.jp
フィンレイソンはアイニ・ヴァーリとルート・ブリュック。
アイニ・ヴァーリは今でも「タイミ」のデザインは残ってるけど、そっちじゃなくて「メルセレッテ」の葉が絡み合う感じの方が好きかなあ。
ルート・ブリュックはタピオ・ヴィルゥカラの妻。セラミック・アーティストで、そちらの作品も今回の展示にあるのだけど、個人的にはシンプルで色彩豊かなテキスタイル「セイタ」シリーズの方が好き。
タンペッラはアウネ・ラウッカネンの「タオル(カラ(魚))」が結構可愛いのと、ドラ・ユングのテキスタイルサンプルがずらずらっと。どれも素敵だけど、やっぱり目に入る孔雀テキスタイル「フェスティヴォ」(フィンランド語で「孔雀」)。
でもってマリメッコ。シンプルだけど明るい…。冬が長いから、こういう色の布が流行るのかもなあ…と。デザイン可愛いよね、服は派手になるから着るのが難しいけど…。
あ、テキスタイルが主ではあったけれど、カーリナ・アホの陶器「卵入れ」が気になった。可愛いの、鶏の形してて。


CHAPTER 5「暮らしの中のモダンデザイン」。
広告やカタログが主なコーナー。
だけど、エヴァ・アンッティラ「タペストリー「夜の街」」は格好良かった。都会を上手くデザインに載せてる感じ。
そうそう、ここにはトーベ・ヤンソンの油絵がある。そういうのも描かれるのか…。


CHAPTER 6「フィンランドの妖精たち」。
というわけで、ようやく(?)ここでトーベ・ヤンソンムーミンシリーズが出てくるのだけど。ちなみにムーミンの布のテキスタイルはフィンレイソンが扱ってる。
個人的には、子供部屋みたいに飾ってある一画の、木製のおもちゃの車のシリーズや、素朴な木製人形が可愛くて良かったなあ。木製人形はカイ・フランクのデザインなのよね。
ライラ・カルゥトゥネンのデザインの「ラグ(楽しい乗馬)」もなんかほっこりした(「凍ったグラス」とはまた随分違うデザインだけども)。
あと、書き手はあまり北欧ものに詳しくないので、初めてちゃんとソレを認識したのが「ヒンメリ」。
藁のモビールフィンランドのユール(クリスマスと同義だけど、どちらかというと北欧神話の性格なのかな)で飾られる。

www.youtube.com
書き手、本当にこちらでヒンメリという言葉を知ったのよね…。


これで展覧会は終了だけど、特設ショップの一画に。

こんなフォトスポットが。北欧のログハウスメーカー・ホンカの日本法人(ホンカ・ジャパン)とのタイアップ。
www.honka.co.jp


いや、これはなかなか面白い展覧会ではあった。


さて、実は問題は特設ショップ。


写真はお遊び的な写真だけれど(上述したドラ・ユングの「不滅(孔雀)」と「フェスティヴォ」のグッズ)。
毎回思うのだが、このような展覧会、特設ショップでの財布の紐を緩めるのが本当に大変!これ以外にも色々買っちゃってる。ああもう。
ニュストロムの観光用ポスターとか、アイニ・ヴァーリ「メルセレッテ」のデザインのグッズとかもあったし…。


続く。