時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

私たちは何者?ボーダレス・ドールズ@松濤美術館

渋谷は平日休みにこんにちはを狙う書き手。


この、ちょっと変わっててとてもモダンな建物&入口に、なんだかえらい看板がかかっているのだが。
shoto-museum.jp
「人形」の展覧会。
松濤美術館は唐突に「攻めた」展覧会を開催することがある。今回はそれかと。
これを高級住宅地の中の美術館、しかも公立(区立)美術館で開催するのだからなあ…。
前後期制。書き手の訪問は後期。
写真NG。この展覧会で写真NGは勿体ない…と思うのは正直なところ。一番「映え」そうだもの。


2階から。
「第1章 それはヒトか、ヒトガタか」。
ポスターの左側の渋い人形はここに。「人形代」。…ええと…呪殺用、です(遠い目)
ポスターに載せる人形が呪殺用なところがもう。ちなみに所蔵は京都市。…なんか…効きそう…(え)
ええと、そういう系の「人間の代わり」もあるし、副葬品で一緒にいてくれる人間の代わりに埋められる系人形もあるし。
こちら存じ上げなかった。「サンスケ」。


こんな風習あるんだねえ。
あと「オシラサマ」も出ていた。こちらは「人形」と「神様」の境界。

第2章「社会に組み込まれる人形、社会をつくる人形」。
雛人形とか御所人形とか、厄除けの「這子」や「天児」等。この頃には「呪い」よりも「願い」に重点がいったのかな。子供の成長を願うものでもあるし。前期には鍾馗も展示されていたとか。
東京国立博物館所蔵が結構あった。そうだね、そんな雰囲気。個人的には嫌いじゃない。

第3章「「彫刻」の登場、「彫刻家」の誕生」。
明治から大正ぐらいに彫刻家が出てきた、という辺り。
森川杜園「能人形 牛若・弁慶」に竹内久一「太平楽置物」、でもって平櫛田中!おおおおお!
でもって小島与一「三人舞妓」。



福岡であい橋の像の元の作品!拝見してたんだけど、記事にはしなかったんだよね。
morina0321-2.hatenablog.com
でもって、小さな人形が沢山。作成はあちこちの農業生産組合…あ、農民美術だ!
morina0321-2.hatenablog.com
これ、凄く素朴で可愛いんだよねえ。いいものを拝見した。

第4章「美術作品としての人形-人形芸術運動」。
平田郷陽は分かる。堀柳女も以前拝見していた。
平田郷陽「洛北の秋」の美しさよ…。
で、堀柳女「踏絵」。
こちら、鏑木清方「ためさるゝ日」がモティーフなのだそうで。以前展覧会で拝見したあの作品…!
morina0321-2.hatenablog.com
何故ブログに書いてないのか。この時の目玉の1つ。
勿論「踏絵」もとても美しい。

第5章「戦争と人形」。
戦争を形どった玩具の人形や、お守りとして戦地に持って行く人形、等。

第6章「夢と、憧れと、大人の本気と」。
まず。あまりその辺詳しくなかったので存じ上げなかったのだが、竹久夢二、人形制作をしていた頃があったそうで。で、どんたく社という人形制作会を作って、暫くそのメンバーで制作をしていたそうな。
夢二の女性の絵に似た感じの人形である。岡山さだみ「大江戸」綺麗だったなあ。
ここは独特な人形作品があったけれど、一番驚いたのは中原淳一の人形作品だったかも。
www.junichi-nakahara.com
中原淳一の公式サイトにあった。左下(無題の作品)。少々怪しげ。…なんかその手のBL的な…なんか書いてる時期的にアウトかもしれんような(やめろ)
あと、リカちゃんとその御家族の人形、でもってリカちゃんハウスまで。

地下1階へ。
第7章「まるでそこに「いる」人形 生人形」。
安本亀八の生人形が出ていた。
morina0321-2.hatenablog.com
以前の記事で震災に遭ってた話をしたが、実は生人形はマネキンの代わりに、博物館の展示等で着物のディスプレイ等にも使われていたそうで。もしかしてそれで震災に…?
安本亀八の生人形は東京国立博物館所蔵が多かったので、この辺で特集展示して欲しいなあと思わなくもない。
後は「烈女松江伝」の生人形。


なかなか壮絶な話である…。

第8章「商業×人形=マネキン」。こちらは洋マネキン。
荻島安二が島津マネキンという会社で作成したのが最初。島津マネキン、島津製作所の子会社になるのかな。島津製作所は別ブログの方が若干関わったような(ぼそ)
www.shimadzu.co.jp
戦後、島津マネキンではなく別会社を作って、そちらで中心人物になったのか向井良吉。
マネキンもあるけど、同時に彫刻家でもあって、東京国立近代博物館所蔵の「蟻の城」が出ていた。こちらはもう現代美術っぽいけど。
www.momat.go.jp
素直にマネキン歴史としても面白いセクション。

第10章「ヒトガタはヒトガタ」。
ここからは現代作家、かな。
四谷シモンが並んでいる。「ルネ・マグリットの男」は実は初めて拝見したけれど、こういうのも作成するんだな、と驚いたり。
後は松崎覚の蝋人形が。「フョードル・ドストエフスキー」、存在感が強い…。
で、ここで、BOMEが出てくる。美少女フィギュア原型師
今回のポスターは村上隆のプロジェクトでBOMEが作成した「Ko2ちゃん」。…広告では相当目立っただろうね、このポスター…。
とてもカオスな章。


普段は2階と地下1階が展示場なんだが、今回は何故か1階にも展示が。
そしてそこの入口には「18歳未満入場禁止」。…展覧会でまさかの18禁…。公立の美術館で…。まあ、東京国立博物館でもありましたけどね…。
第9章「ピュグマリオンの愛と欲望を映し出せ!」。
そこに飾られているものは。
熱海秘宝館にあった「有明夫人」。秘宝館って時点でまあ…。でも、秘宝館の展示物ってなんというか、エロよりバカが勝ってる感じはするんだが(個人的には褒め言葉)。こちらの展示物もそう受け取っている。うん。
でもって、もう一つはオリエント工業ラブドールである。
…正直。服着て座ってるので、ただの美しい人形であったりもする。ぶっちゃけ、第10章の四谷シモン「未来と過去のイヴ6」の方がよっぽど規制いるんじゃ…と思うレベル。
あ、ちなみに男女どちらもある。
エロと美の境界を考えてしまう展示物でもあるのかもしれない。
ラブドールも、元々最初は障害者の悩みのための会社だったのよね…。どうしても「つきもの」だものね…。


なんというか、凄い展覧会ではあった。とても興味深く。
人間は「ひとのかたちをしたもの」に、何か色々(余計なことまで)思い入れしちゃうのかもしれない。それは脳味噌の動きとして。


続く。