時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

没後50年 鏑木清方展@東京国立近代美術館

https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kiyokata/

色々回ってきて、かなり満足しているのに、たどり着いた竹橋・16時。
しかもこの展覧会。書き手どこまで欲しがるのかと。
東京国立近代美術館は土曜は夜間開館を実施しており、展覧会が展覧会なだけに、土曜でも夜間の時間帯なら混雑を避けられるだろう、と思い、この時間。


結果的に。
思ってた以上にお客様がいらっしゃらない…?
いやあの…拝見している分には大変快適なんだけれど、流石にもう少し入っているかと思っていた。まだ会期が早めだからだろうか…。とはいえ、この展覧会、割と絵の展示替えが発生するのだが。
この展示替えが曲者で、2週間しか展示されない絵もあったりして。なのでもう一度来るだけでは、全部は拝見できなさそう、という。

で、更に結果的には。
正直、今回の展示は「全部良い」みたいになっちゃうんだよね(え)清方好きな方は堪能できるかと。
一応細かいところを書いていく。


第1章「生活をえがく」。
生活の中での女性を描いている…というか、どちらかというと他の2章には入らない絵というか…(あ)
あ、でも、スタンダードな清方、という気がする。雑踏だったり、生活折々の中の女性だったり。
あ、少年3人と鍾馗の像という「菖蒲打」は珍しいかな。
女性で1つ印象的だったのは「微酔」。ほろ酔いでほんのり首筋まで紅くて。なんとも艶やか。

で、第1章の後半に特集1「東京」。
こちらは東京の風景の中の女性がずらりと。
morina0321-2.hatenablog.com
以前拝見した「築地明石町」「新富町」「浜町河岸」の築地三部作はこちら(そうそう、同じ時に拝見した「明治十二ヶ月」も第1章にあったよ)。
ここの特集はいずれも良き明治初期の「東京」なんだろうなあ。
個人的には「佃島の秋」。こちらは丁度思春期ぐらいの少年少女で、少年が少女に花を渡していてね。何かのストーリーが後ろにありそうな…。


第2章「物語をえがく」。
こちらは「他の創作物」に関連している絵。
井原西鶴近松門左衛門の話に出てくる女性だったり、雨月物語(配置的には第3章にあったけれど、カテゴリは第2章)もあったり。
雨月物語」はまんまそのタイトルだったけれど、その中の「蛇性の婬」を描いてた。自宅に「雨月物語」の現代語訳があって、読み込んでいたりする書き手。
morina0321-2.hatenablog.com
こちらで拝見した「一葉」もこちらに。樋口一葉の関連はいくつかあって、やはり同じ時に拝見した「たけくらべの美登利」も「にごりえ」も後期に展示されるそうだけど、前期には「一葉女史の墓」が出ていた。
「一葉女史の墓」は、樋口一葉の墓を抱いている着物姿の女性が、「たけくらべ」の美登利なのだそうで。美しく少し怖くて不思議な絵。
どうでもいいけど、過去記事を自ブログで探そうと「一葉」で検索したら、違う一葉さんが出てくるので結構困りますね(何が)
印象に残るのは「曲亭馬琴」。曲亭(滝沢)馬琴は後年視力を失って、息子の嫁のお路に口述筆記をしてもらうのだけど、その口述筆記の場面。
更に「小説家と挿絵画家」。小説家が泉鏡花で、画家が清方そのひと自身(要は自画像)。おもてなしに湯豆腐(泉鏡花の好物)出してたりとか、細かい。

で、特集2の後半は「歌舞伎」。
歌舞伎を観ている母子の「さじき」もあるのだけれど、基本的には演者の絵。
これがもう…美しい…。
個人的には「京鹿子娘道成寺」の連作の絵があるのだけれど、1枚ずつ舞っていく女性(というか、着物)が本当に美しくて…。


第3章「小さくえがく」。
小さな、たとえば色紙に描いたり、雑誌の表紙の原画なので小さめに描いたり、という作品群。
「金沢絵日記」や「夏の生活」はなかなかほのぼのとする。
雑誌は「苦楽」という大衆文芸雑誌の表紙。そういう雑誌だから、近松門左衛門堀川波鼓」のモティーフもあったり。


いやもう…十分すぎるほど眼福…。


でもまだ続く。というか、ここまで来たら、ねえ。


追記。そういえば展覧会会場とかその後の本屋で購入。まだ全然読めてないけど。