時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

「買上展」藝大コレクション展2023@東京藝術大学大学美術館

museum.geidai.ac.jp

東京藝術大学のコレクション展、ではあるのだけど、今回はちょっと特殊。
東京藝術大学の学生が卒業制作or修了制作を作成した際に、それを東京藝術大学で買い上げることがあるんだが、その買い上げられた作品の展示。
撮影OKのものもあり。


会場は地下2階から。
「第1部 巨匠たちの学生制作」。
このセクションがあったから、気になって来てみたら。
ええと…入口に以前も拝見したことがある、いきなり美しい像があるのですが…?
板谷波山「元禄美人像」。
morina0321-2.hatenablog.com
こちら、展示としてガラスケースなし360度拝見可能、写真もOKという…。着物の柄の細かい彫りも見られるよ。
いやもう、これだけで元取れましたけど書き手…。
で、その周囲にもずらっと。
横山大観「村童観猿翁」は、大観「無我」で描いてるようなお子様が沢山描かれていて、ほっこり。
下村観山「熊野御前花見」も群像図。群像の服の色がなんとも美しい。
更に西郷孤月「朝鮮風俗」もとても味のある群像図で。
日本画だけでなく、油彩では和田英作「波頭の夕暮」が。こちらは油彩の暗さと美しさ。
で、こちらは写真NGだったけれど、松田権六「草花鳥獣文小手箱」。松田権六なので漆芸作品。兎や鳥の躍動感、草花が延びた様のリズム感、格好いい作品。ちなみにこれに大学では100点をつけたそうなのだが、「これで100点をつけるな!」と松田権六から抗議があったそうな。…芸術家分からん…。
というか、この一角だけで無茶苦茶濃いんだが…。

この後も興味深い絵は続く。
まずは日本画
お名前存じ上げなかった白浜徴「農家」も数人のそれぞれの動きが面白い絵。
菱田春草寡婦と孤児」は、ぼろぼろになった(でも色自体は綺麗)鎧に、悲嘆に暮れて化け物にも似た様相になっている母、そしてそれでも安らかな乳飲み子。
平福百穂のとても和やかで幸せな群像「田舎嫁入」。
松岡映丘の描く古代衣装がとても美しい「浦の島子」。
松岡映丘の弟子・吉村忠夫の、上古風俗の描写がとても丁寧で美しい「参籠」。
後年の作品からだと想像がつかない、とてもやさしげな婦人を描いている山本丘人「白菊」。
山口蓬春「晩秋(深草)」の色もとても美しい。

彫刻では…これは猿人…?という朝倉文夫「進化」に、
とても力強い僧侶の像、高村光太郎「獅子吼」」。

洋画は、まずは自画像の数々。
中沢弘光・青木繁・橋口五葉(橋口五葉って西洋画専攻だったんだね)・南薫造・岡本一平萬鉄五郎(写実的に自画像描くとこんな上手いのか…!)辺りが確認できたかな。背景が暗くて微妙に写真が撮りづらかった…。
それ以外だと、この頃の洋画の描き方で描写が好きな小林万吾「農夫晩帰」。
卒業制作ではなくて卒業後すぐの作品で、群像の描き方が見事で買い上げられた赤松鱗作「夜汽車」。
三味線の稽古の群像が生き生きと描かれている白滝幾之助「稽古」。
金観鎬「夕ぐれ」は裸体の女性2名の後ろ姿がとても美しい。裸婦を描く画家だったので結構批判があって、それで途中で画業を中断してしまったそうだが…。勿体ない…。
伊原宇三郎「よろこびの曲」は居間に集う親しい者同士の暖かい雰囲気がとてもいい。
小磯良平「彼の休息」は若い男性…というか少年だろうか、肖像画。珍しい気もする。若い頃の作品だしね。

そして建築。
吉田五十八はこの前の「新・美の巨人たち」で拝見した。何代目かの「歌舞伎座」の建築家。
www.tv-tokyo.co.jp
「レクチュアホール」の建築設計図等。
で、富本憲吉「音楽家住宅設計図案」が。…富本憲吉、建築専攻だったんだ…。ホールの装飾デザイン(ステンドグラスっぽい)、滅茶苦茶綺麗でね。デザインセンスは凄かったんだろうなあ。


「第2部 各科が選ぶ買上作品」。
どちらかというと近年の作品が多いだろうか。
第1部は地下2階の1部屋で、もう1つの部屋では第2部の日本画・油彩・彫刻・工芸。
なんとなく工芸や彫刻で気になったところを撮ってた。

でもって3階。
第1部でも範囲だった建築もだけど、デザイン・美術教育・メディア映像・グローバルアートプラクティス・先端芸術表現…後半はいかにも最近っぽい。文化財保存学なんてのもあったりするけど。
…この辺はよく分からない。
あ、一人お名前を存じ上げてる作家さんがいらした。岡ともみ。
open.spotify.com
こちらでお話を聴いて。
先端芸術表現の一角で展示されていた「岡山市柳町1-8-19」は、祖父母の家をモティーフにしたインスタレーションと映像の作品。暗い小部屋で拝見するのだが、少なくとも書き手の年齢ぐらいでも「親しみやすいノスタルジック」を感じるのでは、と。
なので、鑑賞者はまずお静かに入室して欲しいなあと…(ぼそ)

さて、3階には大きな部屋と、バルコニーがある。
普段は休憩所になっているので、そちらに伺った…ら、今回はここにも作品が展示されていた。
とはいえ、光が良く入るような部屋なので「作曲」。譜面と演奏映像。
有名な方とかいらっしゃるんですかね、藝大だし…


まさかの存じ上げてる名前が出てきて、ひっくり返る書き手。
網守将平はムジカ・ピッコリーノの音楽監督でいらっしゃる。ちゃんと掲示されていた略歴にもありましたよ…。
演奏映像も出ていた。オーケストラ編成っぽいけどなんか聞き慣れぬ音が入っていたような…。

東京藝術大の2階はミュージアムショップ…だったのだが、どうやら閉店したようで、そこにも作品が1つ。
荒神明香(「目」の方ですな)「reflectwo」。造花を並べているそうなのだが、なんというか、赤い魚が泳いでいるようなそんな風にも見えた。綺麗。


第1部でかなりお腹一杯になるけれど、第2部もなかなか拝見しない辺りなので、それはそれで興味深く。

続く。