時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

この日に拝見しないといけないなあ、というのがあり、朝イチぐらいでこんにちは。
前回より展示替えした辺りをぐるりと。


まずは本館。
2階、貴賓室(便覧)の「鳳輦」を眺める。先日も展示されていたんだけど、うっかり拝見するの忘れてたよ…。

2室「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」。
今回は江戸城が焼失して、再建するために作成された「江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵」。
まあ、こういうのを描くのは幕府御用達になるわけで、狩野晴川院養信が担当。
栄花物語」の「月の宴」という場面だそうで、何とも優雅な天皇・貴族・女性達の宴の図。
下絵なので精密に描いているわけではないけど、狩野晴川院養信なのでなかなか綺麗ですな…。

7室「屏風と襖絵」。
円山応挙「梅図襖」が出ていた。…応挙館の襖絵!
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応挙館自体では複製が使用されているそうなのだが、本物の展示。
筆遣いの端正さとか、余白の使い方とか、とても素敵。

10室は「浮世絵」が展示替え。
今回は春っぽい絵柄が多いのだが…鈴木春信が思った以上に多いぞ…?名前が春信だから?(え)春信自体に春の題材が多いのかね。目の保養。
あと、肉筆画が美人ばかりで素敵だった。鳥文斎栄之楊貴妃・牡丹図」と、栄之の門人の鳥橋斎栄里「梅窓美人図」、歌川芳広「九美人図」に歌川国長「雪中傘さし美人図」。全部それぞれ美人。

1階に降りて12室「漆工」。
先日まで特別展示で根付展示が実施されていたので、漆工展示は久しぶりな気持ちになる。
「葡萄文沈金軸物箱」は沈金なので目立たないけれど繊細な文様が素敵。
「松巴螺鈿鞍」は螺鈿の松葉がとても細かい。
「蕪平文鞍」は本当に大きな蕪がどーんと大きな文様に。
また、中国の彫漆技術を日本で再現した「花唐草彫木彩漆大香合」に「椿鶴亀彫木漆塗書棚」、「椿鶴亀彫木漆塗重箱」はとても素敵。中国だと明るい朱漆で作成するのだけど、日本はそんなに明るい朱漆で作ってないからか、色調がとても渋い感じに。個人的にツボ。

13室。
「刀剣」、個人的には唾とか縁頭とか目貫とか笄とか見るのが好きなのだが、小型なので写真には収めにくい。が、この日、何故か調子良く写真撮れたんだよね…。あんなに綺麗にピントが合う日ってあんまりない。何故だろう…。
「陶磁」。今回茶の湯の花入で使用された陶器が。備前とか信楽とか伊賀とか、いかにも武骨な佇まいのもの。こういうの、好みなんだよなあ…。
更に讃窯が。仁阿弥道八が関わってるのもあるけど、物凄いバラエティに富んでるデザインである…。面白い。

16室「アイヌ琉球」。
アイヌ」は相変わらず可愛らしいアレコレが多いのだが。あまり東京公立博物館では見たことがない「チウカウカプ」(木綿衣)。普段の木綿衣は藍染が多いのだが、今回はちょっと違う、明るい茶。


さて、平成館。
拝見したいものは企画展示室だった。

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特別企画「令和5年 新指定 国宝・重要文化財」。久々。
国宝は4点(書籍3、考古資料1)でそれ以外は重文。
なお、今回は写真NG。
また、前後期制だったのだが、今回は前期。というか、後期が1週間しかなかった…。
あと、諸事情で展示できないものもあり、その辺りは写真。国宝の書跡は全て写真展示だった。鏑木清方「築地明石町」「新富町」「浜町河岸」の三幅も写真で。まあ、こちらはもう少しで拝見できる機会があるしねえ。というか、今回の展示対象で他にもあるんだろうか(ぼそ)

まずは彫刻。
「木造十二神将立像」、なんか…表情が非常に豊かだなあ。アメリカのアニメのキャラクターっぽい顔。
「木造阿弥陀如来立像」はとても美しい。光背も綺麗。
「木造神像」は等身の小さい女神の二点が展示されていた。なかなか気になる。

絵画。「紙本著色地獄草紙断簡(解身地獄)」。ええと、まな板の上で人間の身体が非常に血生臭く解体されてる絵という(遠い目)。まさに地獄絵図。

工芸は「金銅密教法具」が綺麗だった。

書籍は「源氏物語(国冬本)」の表紙がモダンなデザインで素敵だった。

古文書は「多賀城跡出土木簡」。奈良~平安時代の木簡、ということは、その頃って対蝦夷政治の資料…?そりゃあ重文だなあ…。

考古資料としては「徳島県若杉山辰砂採掘移籍出土石器」が気になった。辰砂の採掘してたら出てきたのか…。そういうこともあるんだ…。
で、今回実物の展示で唯一の国宝は考古資料「北海道白滝遺跡群出土品」。後期旧石器時代の遺跡。そりゃあ国宝にもなるよね…。

歴史資料では「横山松三郎関係資料(高田家伝来)」。横山松三郎は明治初期の写真家で洋画家。なので、写真と油彩が歴史資料。こういう歴史資料もあるのか…。洋画はとても正確なスケッチをしている感じ。
「国友一貫斎関係資料」は望遠鏡だし(国友一貫斎は江戸時代に望遠鏡を作成した発明家)、「五馬力誘導電動機」は日立製作所の創業者・小平浪平が制作したモーターだし。
幅が広い…。


お昼をキッチンカーで済ませ、法隆寺宝物館へ。
とはいえ、展示が変わっているというわけではなく。

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「デジタル法隆寺宝物館」。どんなものなのかな、という興味本位で。
聖徳太子絵伝」のパネル展示は以前も拝見したことがあったけれど、
「伎楽面・伎楽装束」復元模造はなかなか興味深く。
こんなに華やかなものだったんだなあ…。復元するのも凄い。
書き手が伺った時はアンケートもとってて、協力したらポストカードを一枚。ありがたい。


東洋館へ。いつもの通り5階から。
10室は「朝鮮時代の美術」のみ展示替え。書画が展示されているのは珍しいかもしれない。
今回は猫特集で、伝・毛益「猫図軸」も、卞相壁「雀猫図軸」「猫図軸」もなかなか可愛らしい。
あまり日本の江戸以前の猫の絵とか、中国の水墨画の猫とか、好みでなかったりするんだけど、今回展示されていた猫は嫌じゃない感じ。
卞相壁は猫を描く名手だそうで。


8室は「創立150年記念特集 王羲之と蘭亭序」。
王羲之は書聖とも呼ばれる晋時代の政治家・書家。「蘭亭序」は作品名。
ということは書が中心かな、と思ったら、画も出ていた。画は李白とか蘇軾の文を画にしているものとか。
仇英「款」(仇英そのものが描いたのではなく、仇英の流れを組む作者が描いているとのこと)「桃李園図軸」は人物の描き方が細やかで色彩がなかなか綺麗。
王素「東坡賞月図軸」は蘇軾を描いているのだが、表情がなんともいい。


5室は「中国の陶磁」が展示替え。
中国から渡ってきて(もしくは日本からの依頼で中国に作ってもらって)茶道具になったものがいくつか。そういうものは箱や豪華な袋まで一緒に展示されていて、陶器そのものより袋が気になったりしたり。
青磁鰲頭独占硯屏」は初めて拝見したかも。「硯屏」は硯の前に立てる小さな屏風状のもので、硯に埃が入るのを防ぐものだそうで。ちょっと変わった黄緑の釉薬を使っている。産地が特定できないらしい。
あと、何故か「加彩女子」が「中国の陶磁」として展示されていった。「中国 墳墓の世界」で展示されてるなら分かるのだが。「三彩梅花文壺」の流れて展示していたっぽい。確かに三彩ではあるのだけど。


3室。
西アジア・エジプトの美術」だと、拝見したことないものがそろそろなくなってきたような。地中海東部の「モザイクガラス象嵌指輪」はあまり見かけたことがないかも。綺麗。
「西域の美術」は、塑像の部分発掘が展示されていたのだが…その、塑像の一部って手とか足の甲とかで…変にリアルで…なんだか…(あ)


13室。
「インドの細密画」はシク王国関連。結構珍しいかもしれない。
「アジアの民族文化」は定期的に展示されるワヤン・クリ。


…ざっくりのつもりなのに、時間がかかるのなんだろうね(遠い目)
続く。