時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

キッチンカーでお昼を済ませ、いつもの通りに総合文化展ゴー。

本館2階へ。
2室は国宝の部屋だけど、今年は(秋に国宝を一気に展示する展覧会があるのもあって)「未来の国宝」。
で、今回は上村松園「焔」。
初めての拝見ではないけれど、ここまで色々拝見してきて、松園の絵では特に異質と思わせるこの迫力のある絵よ。堪能。

5・6室「武士の装い」。
「直垂 白地藤立涌模様顕紋紗」が夏の衣装なんだけど、白…というか薄い茶の地に模様を織り出していて(顕紋紗というらしい)、一瞬地味に見えるけど実は華やか、という豪華な直垂。格好いいなあ。

7室「屏風と襖絵」。
今回は水墨の山水画。涼やかさは梅雨時期を意識して、みたい。わかる。
海北友松「山水図屏風」はダイナミックで素敵。
久隅守景「山水図押絵貼屏風」は、小さな絵を屏風の一曲一曲に装幀されているというもので、1つ1つの絵が美しい(ただ、普通の屏風とは異なって、屏風を遠くから拝見すると、ちょっとごちゃっとしちゃうかも)。ああ、久隅守景って清原雪信のお父様なのか!
morina0321-2.hatenablog.com

8室。
まずは「暮らしの調度」で衣装変更。
「単衣 鼠絽地笠杖砧風景模様」の鼠地が格好いい…。
「笠杖」は能「弱法師」、「砧」はまま能「砧」を表す図柄なのだそうな。
でもって「書画の展開」。
英一蝶「花鳥図」は…左隻、何の鳥…?頭に丸い冠がついてる…。
揖取魚彦「鯉滝登図」は、鯉が滝に登る表現が面白い。
揖取魚彦は国学者で絵は余技だったそうなんだけど、
こういう発想するのも面白いなあ。
岡本秋暉「四季花鳥図屏風」はところどころ端正、ところどころざっと描いてあって、
これはこれで面白い…けど、東京国立博物館で拝見する岡本秋暉、
孔雀の絵が出てこないのは何故なんだ…。
松村景文「青梅図」の梅の感じもいいなあ。

9室「能と歌舞伎」は能「杜若」。時期ですなあ。
杜若をあしらった衣装は素敵だけれど、
ちょっといくつか…修繕が必要そうなものが…。

10室。
まずは江戸(衣装)。
普段衣装が入っているケースに、布が飾られている。小袖裂が2点。が、「紅綸子地蔦岩松草花模様」も「黒紅綸子地草花雲模様」も、とても素敵だった。
今回は他の模様も面白くて、「小袖 白黒紅染分綸子地熨斗藤模様」のライン状に入っている花の模様に、黒(色が褪せてるのか、本当の黒ではない)地にビビッドに白が入ってるとか。
「小袖 白綸子地鼓藤模様」の円状の藤とか、「小袖 白茶縮緬地桐石畳模様」の石畳は、青の菱形が白茶地に並んでいて、モダンで。楽しい…。
江戸(浮世絵)は、相変わらず鈴木春信とか歌川広重とかだけど、歌川広重の魚づくしシリーズは、普通に魚美味しそうだなって(お昼直後ですよね…?)

特別1室・2室の「東京国立博物館の近世仏画―伝統と変奏―」。
鶴洲霊翯の「観音変相図」を拝見に。やはり美しい。

1階に降り、12室「漆工」。
「萩螺鈿鞍」格好いいなあ。

14室は特集、「創立150年記念特集 収蔵品でたどる日本仏像史」。
仏像は詳しくないけど、円空仏や木喰仏、佐藤朝山「龍頭観音像」は楽しかったり綺麗だったり。


続いて一休み入れてから、東洋館へ。

5階から。10室。
「朝鮮時代の美術」でトンダリという服が。軍服なんだね。身体がオレンジ色で袖が赤で、凄く目立つ。

9室。
「中国の漆工」が珍しく気になったかなあ。朱漆少なかったからかもしれない。
朱漆でも凄く綺麗な形なのに、「朱漆稜花形唾壺」って唾用…となったのはあったけど。

8室。
「中国の絵画」は呂健「崑崙松鶴図軸」の鶴の羽が綺麗だとか、呂紀「四季花鳥図軸」は美しい花鳥画だなあ、とか。
ちなみに呂紀と呂健は血縁っぽい。
朱偁「花鳥図冊」「白鷺図扇面」も割と好き。

5室。
「中国 墳墓の世界」と「中国の青銅器」が今回混じっている。
というのも、「中国の青銅器」はいつも大型の青銅器の壺(饕餮とか)が真ん中のケースに飾ってあるのだが、今回そこにあるのが三彩だから。墳墓の世界と区別がつけづらい…。
とはいえ、三彩好きだから嬉しいのだが。


今回女子が多かったので、好み(?)だったのを置いていく。
ちなみに青銅器の壺は、いつもは青銅器の小さな物品が展示されているところに配置されていたり。
「中国の陶磁」。白磁青磁が主。シンプルで楽しい。
「茶葉末双耳壺」が本当に茶葉の色をしてて、凄く面白かった。

ところでこれは陶磁にあっていいんだろうか、の孔雀石硯山。綺麗だけど陶磁…?
「中国の染織」は基本、好みのものが多いので割愛。たのしい。

4室「中国文明のはじまり」。
蜻蛉玉可愛いなあ、と思いながら眺めていたり。
あ、古代の瓦が並んでいたところがあったのだけど、なんか綺麗なのが1つあるな、と思ったら明時代の「緑釉龍文軒丸瓦」だった。古代の瓦と比較対象だった様子。

1室「中国の仏像」が展示替えになってた。1年に1回ぐらいだっけ。
「菩薩龕像」が気になる。
壁面に囲んだ中に像を彫ることを龕像というらしいのだけど、
なんか中の仏像の表情が素朴で良かった。

久々に地下に。
12室。
「インド・東南アジアの考古」は、やっぱり他の考古では見ないようなのが出てくるので面白い。「土製施文具」みたいな文様をつける道具とか。
「東南アジアの陶磁」は、黒釉とか鉄絵とかが個人的に好きで。あ、「青花鹿山水文大皿」の鹿の絵がとても印象的だった。格好良い。
「東南アジアの金銅像」は、なんというか…とりすましたような表情のタイの如来坐像が気になる…。

13室。
「アジアの染織」はインドの染織。書き手の好みは幾何学系柄の「パトラ 赤紫地花文様経緯絣」「茜地菱幾何文様更紗」になるかなあ。
「インドの細密画」は「中庭を横切る乙女」が気になった。構図が気になったのかも。
「アジアの民族文化」は「台湾パイワン族の生活文化」。

今回拝見した展示で一番ホラーなアレ。名前もそのまま「人面付き椅子」。まあ、パイワン族、首狩りするしね。「雲豹皮衣」でも首が等間隔に並んでる絵があるしね…。


法隆寺宝物館も行く。

4室の「金・木工」は仏具。「仏舎利」が綺麗だった。

6室。
「染織」は相変わらず布がよく残っているんだが、「紫地円花文錦包裂」はほぼ完全に残っているなあ、と思ったら、鎌倉時代のものだった。「紅地菊桐文錦裂」も室町時代
そりゃあ残るよなあ(時間感覚がおかしくなってる)。


結局1日、東京国立博物館にいてしまった…。