時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

MONDO 映画ポスターアートの最前線/コレクション展@京都国立近代美術館

前回からの続き。
morina0321-2.hatenablog.com

京都国立近代美術館の4階へ。
実は4階はコレクション展と。
www.momak.go.jp
もう1つ展覧会が(今回のチケットで入場可能だった)。
www.momak.go.jp

先に「MONDO 映画ポスターアートの最前線」の方を。
あ、こちら、全編写真OK。
MONDOが作成している、映画の広告ポスターをよりアートに作成する「オルタナティブ・ポスター」というようなものの様子。
…ただ、書き手、映画全然詳しくないんだよね…。元ネタが…。こちら、元ネタを御存知の方ならよりお好きかと。
とはいえ映画のタイトルは存じ上げてるのとかは、まあそこそこ。「時計じかけのオレンジ」とか「俺たちに明日はない」とか。
前者は格好良く作ってたし、後者は若干ほのぼのっぽいような(内容知られてるからわざとそういう感じにしたのかもしれない)。
結構ホラー物が個人的には好みだったり。
あ、あと、「ロボコップ」が可愛かった(え)。


一方、コレクション展はいくつかのセクションに分かれている。

「「没後50年 鏑木清方展」によせて」。
というわけでそのぐらいの日本画特集。
吉川霊華狭衣物語」は古典題材だけど、とても端正で美しい。
そして写真がNGだった3点、伊東深水「春宵」、池田蕉園「うたたね」、山川秀峰道成寺」と美しい美人画が…!(NGなのは、こちらが寄託作品だからで、寄託元NGなのだと)
鏑木清方からの流れなので、美人画挙げてくれてるみたい。
で、その鏑木清方は掛け軸の「砧」に、尾崎紅葉金色夜叉絵巻」の挿絵が。おお…。
でもって、菊池契月が「朱唇」「朝爽」「夕至」の3点の女性の絵を。実際「美人だなあ」とストレートに思うのは「朝爽」で、「朱唇」は…顔自体は正直のっぺりしてるんだけど、佇まいが綺麗で、「夕至」は、恐らく1日歩き回ってくたびれ切っている(恐らく)大原女なんだけど、なんだろうね…不思議な生活感がとてもいいんだよね…。
そして大原女といえば、の土田麦僊「大原女写生」。写生だから勿論盛り込まれている絵ではないけど、その分上手さが際立つ…。
正統派の美人画なので当然出てくる上村松園「舞支度」。屏風なので表装は楽しめなかったけれど(そこ?)、堪能…。
で。毛色の変わった美人画もあったりして。
まずは村上華岳「妓女舞踊図」。これはほんわか系でほっこりする。
で、岡本神草「五人遊戯」に甲斐庄楠音「遊女」の濃い系美人画もきた!何気ない題材なのに、なんでこんな濃いんだろうお二方とも…。
そして違った方向の情念が籠る美人画を描かれる梶原緋佐子「矢場」も。
…ええと、描かれている女性は市井の女性っぽい(おばちゃん的な感じにも拝見できる)けど…「矢場」…そういう意味あるんだよな…そういうことかな…。描かれてる女性はあくまでも陽っぽいし、逞しい感じはするけど。
で、その横に千種掃雲「つれづれの日」が。千種掃雲は触れなかったけれど、一か月前の京セラ美術館で拝見していた。その時はいまいち好みではなかったのだけど、「つれづれの日」はなかなか美しい、正統派でありながら生活感を感じる、そしてちょっと洋画風な(実際洋画の技法を取り入れている様子)女性の美人画
で、千種掃雲は、実は梶原緋佐子を最初に見出した人なんだよね。並んでいるとおおっとなる。
あ、美人画でない日本画として、西村五雲「梅雨霽」が。鳥の雛の毛がふわっふわ。

「戦争と写真:W. ユージン・スミス第二次世界大戦》と《スペインの村》」。
個人的には戦争関連は好みじゃないのでスルー気味だったけれど、「スペインの村」シリーズの「糸紡ぎ」と「スペインの村のパン」は好き。
前者は糸を熱心に紡いでいる女性、後者はパンを並べて載せた板を頭に載せて運んでいる(恐らく売り物の)女性。
生活に即した写真は嫌いじゃないよ。

「近代工芸の着物」。
志村ふくみに森口華弘・邦彦親子、芹沢銈介、木村雨山のような、個人的によく拝見するお名前もあり。
原田麻耶や鈴田照次が初見なのだけど、これもこれでモダンで素敵で。
今回は先日ご逝去された北村武資の特集も。こちらも着物がモダン…。目の保養…。
また、北村武資は羅と経錦の人間国宝の方なので、特に羅は沢山展示されていた。素敵だし、写真も撮れたのだけど、展示のガラスに人影が反射してしまう…。おお…。

「飾りと装いの工芸」。
装身具系。
京都国立近代美術館は民藝系も置いてくれるのだけど、バーナード・リーチの目玉のような簪に、河井寛次郎の、ちょっと色が変わった(少し血の色も含めた)桃形の簪があったり(正式名が使えない漢字だし読めない…(あ))。
藤井観文「片切沈金草花文宝石箱」みたいな漆の宝石箱があれば、藤田喬平「飾筥「醍醐」」のような絢爛な箱もあり。後者はガラスなんだ…。とてもそうは見えなかった…。
三代宮田藍堂の金や銀の装飾品はとてもお洒落。
外国人(あ、バーナード・リーチも外国人だけれど)はもっと自由で、マリリン・ルヴィーン「ジャケット7」はどう見ても革ジャケット、な陶器。ブライアン・ハーストのガラス作品「ゴールド・タイのシャツ」「レザー・タイのシャツ」はシャツとネクタイの飾り物。

坂本繁二郎青木繁」。
…ちょっと待って、これコレクション展でいいの?特別展じゃなくて?今度東京でやるのよ特別展…。
青木繁が早世されているので、坂本繁二郎が多いのはそうなのだけど、いやそれにしても、コレクション展の量なのこれ…。
しかも、寄託作品以外は写真OK…いいの…?
若い頃の、「こういう絵も描くの?」と思わせる「秋の朝日」とか、個人的に大好きな薄い青が素敵な作品群(静物も風景も)、線画みたいな「サイユ村風景」「柿」、そして何とも言えない馬の作品群…。
…眼福…。いいんだろうか…。
青木繁は「女の顔」と「盆踊り」が好き。前者はとても力強い女性の顔、後者は全体的に暗いのになんとも幻想的で。


コレクション展、個人的な好みを突きすぎだった…。
ありがとうございました。


京都の2泊3日は充実のままに終了。

次はちょっとおまけ。