時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

浮世絵の別嬪さん―歌麿、北斎が描いた春画とともに@大倉集古館


一旦休憩を挟み、「また後で来ますよ」と隣に言いつつ(え)


本題。

「浮世絵」となっているけれど、実は「肉筆浮世絵」の展覧会。
前後期制だけど、書き手はようやく最終日にこんにちはなので、後期。
写真NG。


1階。
「第1章 初期風俗画と又兵衛、そして師宣の誕生-17世紀」。
江戸初期の女性の髪型、普通の「江戸時代の女性」と思って拝見すると、ちょっと違う感じを受けるよね。菱川師宣の「見返り美人」的なお姿が多め。
作者不詳の「兵庫髷立美人図」「立美人図」どちらも綺麗だなあ、と思っていたら、後者は鏑木清方が「寛文美人」と箱書きがあってびびる。個人蔵だそうだが…。
同じく作者不詳「邸内遊楽図」は美人は美人だが、ほぼ若衆。…そういう趣味の方のためのかな…。
菱川師宣「紅葉下立美人図」は遊女の図だそうだが、ちょっとふっくらとして素敵な感じだった。
後は山崎女龍(龍女と出すところもあるけれど同一人物)、女性の画家なんだね。珍しいなあ。「見立普賢菩薩図」は能「江口」題材ですなあ。綺麗。


「第2章 安度、長春の隆盛-18世紀前期までの美人画」。
懐月堂安度と宮川長春を中心に。
懐月堂安度「文書く美人図」は着物の色使いがとても美しい。
松野親信「床几にかける美人図」は表情が素敵。
宮川長春の弟子・宮川春水「洗濯する美人図」、確かに美人の女性なんだけど、そこにちょっかいかけようとするのが鍾馗で、しかも小鬼吊るして手紙持たせてメッセンジャー扱いと、なんだこの作品。面白いけど。


2階。
「第3章 春章、歌麿、栄之の精華-18世紀後期の美人画」。
勝川春章、喜多川歌麿鳥文斎栄之が複数点。
正直、どの作品も着物がとても美しいんだよねえ。後は顔の好みかなあ。
月岡雪鼎「拳遊び図」があぶな絵かもしれない、って解説ついてて「これで?」と思ったりとか(確かに拳遊び自体はお座敷遊びなんだけども、特に着物が乱れたりはしてない)、
歌川豊広「雪中花魁と禿図」は雪積もってるのに花魁が裸足で下駄履いてて寒そう、となったり(江戸は裸足で下駄が粋だったそうだが…)。
あと、歌川広重「聞香美人図」があって驚いた。どうも席画(宴会の場で描いたもの)らしいのだが、全体的にさらっと描いているんだが、それでも悪くないなあ、と。あまり美人画って絵師ではないけども。


「第4章 葛飾北斎と歌川派の浮世絵師-19世紀の美人画」。
葛飾北斎は女性描いても美しいよねえ…。「二美人図」の着物がとても美しかった。
渓斎英泉「柳下美人図」は着物はとても素敵なんだが、こう…女性の顔が…個性的だよなあ…。
月岡芳年「雪中常盤図」が。常盤御前なので、美人画というよりは歴史画な気はするけれど(芳年美人画ってもっとこう「美人画!」って感じに描くし)、雪の描き方とか、常盤御前の笠の感じが凄くいいなあ。


地下。
「第5章 めくるめく春画の名品」。
春画なのでR-15である。仕切ってないミュージアムショップが隣にあって、ショップに用事があったお子様がうっかり第5章の展示見ちゃわないかしら、と気にはなったが。
とはいえ…春画って今の感覚で、正直そこまでエロいかというと…どうなんだろうねえ…。露骨だなあとは思うけど。
北斎春画が拝見できることはあんまりない気がするので、それはそれで面白いのかもしれない。
歌川豊広「男女風俗図」は大分マイルドで、春画として扱わなくてもいいかなあという気もしたり。
鳥文斎栄之源氏物語春画巻」は一応源氏物語ティーフらしい。それ以上に、子供に授乳中に事に及ぶな、とは思うんだが(言い方)。


肉筆画はやっぱり目の保養で良かったなあ。
続く。