時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

紅白 夢の競演!-さまざまな国の”赤”と”白”-@文化学園服飾博物館

museum.bunka.ac.jp


いくら自分の大学の教授だからって、元NHKアナウンサーに読ませるあたり。


とはいえ、展示内容はとても真面目な「赤」と「白」の服飾の話。


展示は1階から。
「1.喜びと哀しみの赤と白」。
冠婚葬祭とか、御祝い事で着用する赤と白の衣装。
日本だと、白無垢とか、赤は魔避けの意味で子供に着させるとか。
海外だと、赤が婚礼に使われる地域も多いようで。あ、ヨーロッパは白のウエディングドレスですな。
逆に、赤を葬送用の布に使用するマダガスカルとか、宗教指導者が葬儀で着用する着物が赤で、喪に服す色だったり。


「2.祈りの白」。
日本だと、大嘗会や新嘗祭で神官が着る「小忌衣(おみごろも)」という衣装が出ていた。黒地に白の衣でとても格好いい。
宗教儀礼で使用する衣装は白が多い模様。イスラム教の巡礼(ハッジ)用の衣装もそうだし、
キリスト教の洗礼服もそう。もう…レースフリルフリッフリで、ただ可愛い。
一方、中国・韓国の喪服(韓国は遺族の方だけみたいだけど)は白。男性の白のチョゴリ(上衣)とバジ(袴)が出ていた。


さて、2階に上がると。

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唯一写真を撮っていいところが、大晦日NHK風(あ)
とはいえ、これ、各民族の赤と白の衣装の写真で、細かく見るとおおっとなる。


「3.ステイタス・シンボルとしての赤と白」。
赤の染料は獲れるところが決まっていて、自国ではできなくて輸入に頼っている地域などは、赤は富貴のステータスとなったり。
富貴のシンボルなので、まあ宝石だの貝殻だのビーズだので飾って豪華だし格好いいし。
あと、台湾のタイヤル族の衣装も出ていた。赤はヨーロッパから輸入された毛糸。白地は苧麻で作られていた。苧麻で衣装を作る、というのは琉球もそうだよねえ。
一方、日本からは猩々緋の羅紗で作成された陣羽織が。確かにステイタス。
更に、幕末の戊辰戦争で新政府軍がつけた「白熊・赤熊(しゃぐま)」という被り物。ヤクの毛を染めてるらしい。


「4.コミュニティにおける赤と白」。
コミュニティにおける、って何ぞや、というところなんだけど、
例えば既婚・未婚で色が違う衣装を身に着ける。
既婚だと赤をつけたり、逆に既婚だと赤以外をつけたり、白をつけたり、地域によって全然違う。インドだと白のサリーは喪服で未亡人用だったりするとか。
あと、タイの部族で、結婚式の最中に未婚と既婚の婚礼衣装を着替えるとか。
あとは部族によって違ったり、村によって違ったり。ちょっとした身分の違いなんかも(村長とか高僧とか)。


「5.実用性のある赤と白」。
一番分かりやすい例は、暑い国は白を普段着にする、とか。
ケニアのマサイ族は、大地で目立つように赤い衣装にするとか。
日本だと襦袢は赤だったり、西洋の下着は白だったり。西洋の下着、漂白をしないものが健康に良いとかされていたらしい。なるほど。


「6.華やかな赤、繊細な白」。
ここからはブランド物がずらりと。まあ…キラキラしてたなあ…。
ブランド物でなくても、白いサリーやアフガニスタンのチュニックに、細かく刺繍が入っていたりとか。
日本からは皇族の衣装が。赤も白もエレガントに。


そして最後は特別展示、ハリウッドから。
「ドラキュラ」の真紅のローブに、「ローマの休日」でアン王女が最初に来ていたローブ・デ・コルテ。
前者は石岡瑛子のデザインなんだね。名前は存じ上げている。


目の保養にも、世界にはこんな衣服があるんだな、という勉強にもなる展覧会。
しかし、毎回思うけれど、写真はともかく(でも写真をとりたくなるぐらい美しい衣装が多い…)、せめて展示リストは欲しいなあ…とは。


続く。