時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開+MOMATコレクション@東京国立近代美術館

開館前、やたらと早めに着いてしまった。そうしたら行列。びっくりしているお姉さんがいて、近くの年配の方に「今日何かあるんですか」と。
そんな11/3、文化の日のため展覧会無料入場日。
…前日それは知ってはいたのだが、若干失敗したなと思っていた書き手。無料よりも混雑のない方をとりたい…。

この日の東京国立近代美術館は2つ特別展をやっていたが、目当ては鏑木清方
普段はコレクションを展示している10室を特別展用に変更している。…10室…近代日本画の部屋がごっそり変えられてるか…まあいいのだが。
というわけで、いつもの通りコレクションを上の階から見ていく形にした。

1室「ハイライト」。
鏑木清方「墨田河舟遊」いきなりどーん。特別展にきっちり合わせて展示している。
あと、いくつか工芸作品が。工芸館がそろそろ閉まってしまうからだろうか。大角幸枝「銀打出花器 濳龍」、須田賢司「楓造拭漆嵌装箱 湖上月夜」、増村益城「乾漆流水文盛器」辺りが好き。ちなみに皆様、人間国宝の方々。

2室「1912年」。明治から大正へ移り変わる年の作品。
小林古径「加賀鳶」。前田加賀藩のお抱えの鳶(火消し)題材。歌舞伎とか日本酒にもなってるけど(え)端正な筆で迫力の炎を描く、というのが古径という感じがする。

今回個人的なツボの4室。「旅の版画家、川瀬巴水」。
そうか、巴水の日本画の師匠が清方だ。それもあるのか。
ずらりと並ぶ巴水。いやあ…眼福。

5室「1930年代」。1930年代の美術動向。
抽象画多めなのであまり…となったが、須田国太郎「法観寺塔婆」は割と好き。暗いけど。藤島武二「麻姑献壽」で一息ついたりもしつつ。美人画

さて、ずんずんと進んでいって本命の普段は10室、「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」。
特別展というだけあって写真撮影NG。が、その分紙のリストを作ってくれていて、そこに絵の縮尺写真も載せてくれているという心遣いがありがたい。
ちなみに上述の1室の「墨田河舟遊」も、今回の展示の一環だということを知る(そちらは写真撮影OKだけど)。
この展示会のメインは「新富町」「築地明石町」「浜町河岸」三部作展示。
美しい。衣装含めて。「築地明石町」は築地が居留地だった時代の絵で、女性は和装(上衣の黒が生えて素敵)だけど後ろに洋館の柵が見えるというのも素敵だし、「新富町」は美しい芸者の着物和傘高下駄。「浜町河岸」が若いお嬢さんのお可愛らしい姿。
が、それ以外にも見どころはあって、「明治風俗十二ヶ月」全部並べるとか(個人的には「梅屋敷(二月)」「二百十日(九月)」「夜の雪(十二月)」が好き)、「弥生の節句」「端午の節句」という掛け軸を2つ並べたりとか。この掛け軸、描表装=要は表装全部描いてる。やるなあ。
個々の小作品もあって、「初冬の花」が好き。
あと、1つだけ、紙のリストにないものがあった。「鶴八」。東京国立近代美術館のサイト見たら、特別出品だったそうな。中島誠之助氏蔵。おっと。
いやあ…眼福だった…。
なお、ミュージアムショップは混んでて遠慮したのだが、美術館受付前に、清方作品のポストカードを売るコーナーを作ってくれていた。よっ商売上手!(財布の紐を緩めながら)

絵を楽しんだ後、お腹が空いたので、いつも美術館前に出ているキッチンカーにてラザニアと甘酒を購入。…どんな組み合わせだ。いや、甘酒は結構推してるっぽくて気になって…。うん、美味しかったよ。
ちなみにこのキッチンカー、ミュージアムレストランが出してるキッチンカーだった。
lart-et-mikuni.jp
あの高そうなレストランがキッチンカー出してるのか…。キッチンカーで出してる食事等はそんなお値段ではなかったけども。量は多くないけど、ラザニア500円だったし。

余談。
7室から少し外れたところに、休憩室がある。で、丁度その休憩室に入る通路に、クッションが置かれている椅子が二つ。

あれ?これって…先日「新美の巨人たち」で出ていた、バタフライスツール?


意外とこんなところに設置してたりするんだなあ…。量産していて、そこそこの値段で入手できるとはいえ(1つ5、6万ぐらい。リプロダクトだともっと安いけど)。デザイン的に優れているからこその設置なのかも。
ミーハーなのでしばし着席。座り心地良かったよ。