時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎@アーティゾン美術館

morina0321-2.hatenablog.com
後期展示へ。


第1章「出会い」。
1-1「森三美先生」。
ここで後期展示で変わったのは1点、坂本繁二郎「水縄山風景」。水彩で綺麗だったなあ。


1-2「上京、青春」。
こちらは鉛筆画が多かったので(保存の問題で)、かなり入れ替わりがあった。
青木繁の人物を書いてるスケッチが割と好き。「車中風景」のとぼけた3人組みたいなのとか、「スケッチする男」は坂本繁二郎なのかなあ、とか。
当時の写生の絵としては青木繁「男半裸体」が妙に生々しかったり。


1-3「画壇へのデビュー」。
青木繁「黄泉比良坂」は代表作の1つ。前期に拝見していた「輪転」と似たような、「奇妙な画題」。これ、ラファエル前派影響だと思うのよね。神秘的な感じに。
「顔」や「男の肖像」「水浴」はちょっと宗教の色が見えたり。
坂本繁二郎は「房州風景」が気になった。これ、青木繁「海の幸」に似た、漁師のスケッチ風水彩。このレベルで漁師のスケッチ、残してたんだね。
あと、「風景」は真ん中に小さく女性が歩いている絵で、個人的には結構好き。
面白いのは、資料的な手紙が2通。宛先はいずれも梅野満雄。梅野満雄は青木繁坂本繁二郎の友人だったそうで、家が資産家だった関係上、長野県東御市に「梅野記念絵画館」という美術館的な施設のコレクションをした方だそうで。
1つは「房州絵入書簡」というもので、青木繁が墨で描いている女性がとても格好良くて。
もう1通は、梅野満雄が東京藝術大学の卒論?でロセッティを取り上げてて、そのあたりの書簡だそうで。それを青木繁が便宜を図って、卒論の清書を坂本繁二郎がしているとか。それは恩に着るよねえ…。


第2章「別れ」。
2-2「青木繁の九州放浪と死」。
こちらは青木繁の鉛筆スケッチが入れ替わり。
「山村風景」「橋のある風景」の風景画も、「明治の女」の着物の女性の後ろ姿も、なんとも雰囲気が出ている。


第3章「旅立ち-坂本繁二郎」。
坂本繁二郎は残している油彩画が多いため、前後期入れ替えがあまりないのだけど(その分、前期で拝見した絵ももう一度楽しんだり)。
前期とは別の「ヴァンヌ風景」という鉛筆画が出ていた。良い色使いで、ちょっと建物は単純化している感じも良い。
あとは「水より上る馬」と「松間馬」の油彩画の元になったような水彩画。どちらもいい雰囲気。


第4章「交差する旅」。
4-2「「壁画」への挑戦」でいくつか展示変更。
レリーフ風で前期に出ていた「春」の対になる「秋」。
そのレリーフ風だったタイトルと同じタイトルながら、こちらは複数の女性が並ぶ「春」。
普段は薄い青が基調になるけど、今回は枯れた茶色がベースで描かれている、坂本繁二郎の水彩画「馬」。
これはこれでいいなあ。


スケッチ的なものを多く拝見したような気がしたけど、これはこれで興味深かった。

続く。