時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

仙厓のすべて@出光美術館

morina0321-2.hatenablog.com
出光美術館、何故か展覧会2回続けて来訪してしまった。
morina0321-2.hatenablog.com
morina0321-2.hatenablog.com
いやあ、仙厓義梵展だと、見ておきたいなあとなるわけで。
出光美術館は仙厓義梵のコレクションを豊富にお持ちでいらっしゃる。


第1章「仙厓略伝 ―画賛でつづる一生」。
出光美術館は前回もそうだったけど、第1章はハイライト的に数点作品を展示するよね。


第2章「「厓画無法]―仙厓画、ビフォー・アンド・アフター」
仙厓義梵、ゆるくないのも描いてたんだよ、という企画だったのだけど、とにかくゆるいのが目を引いて仕方がない(あ)
まず自画像がとてもゆるくて可愛い。
布袋を描くことが多いのだけど(展覧会のポスターも布袋だものね)、どれもこれもゆるゆる布袋…。
寿老人もいくつかあったけれど、こちらも優しく可愛い。
妙にイチャイチャしているようにしか見えない寒山拾得図とか。
ゆるくないのは仏とか観音図とか。まあ、ある程度は真面目に描きたいんだろうな、禅僧だものね。
あと、こちらは真面目に描いた、というかさっと描いたのかもしれないけど、「竹画賛」の竹がとても美しかった。なのに、画賛で「不出来を笑ってもらった方がいい」みたいなことを書いてるわけで。うん、本当に禅僧なんだよね、仙厓義梵。
あ、そうそう、「特集1 仙厓の一行書」には書も出ている。


第3章「仙厓の禅の教え―悟りへのイントロダクション」。
仙厓義梵の説教タイム(おい)ただ、この方の説教自体もかなり面白いけどね。
「蕪画賛」には「かぶ菜と座禅坊主はすわるをよしす」とか書いてるし。
「一円相画賛」はちょっといびつな円が描かれてて、「これくふて茶のめ」って書いてあるし。饅頭かなんかですかこれ。
「狗子仏性画賛」は生き物は全て仏性を備えているから子犬にもあるはずだ、なんだけど、子犬自体もゆるければ、そこに描かれてる僧侶達が子犬を可愛がってるようにしか見えない。
「三聖吸酸画賛」は、孔子老子と釈迦が椀持って、「誰が味を見ても酸っぱい」=「思想が異なっていても心理は一つ」って教えなんだけど、酸っぱがってるその表情が…。いや、この画題描いたらこうなるだろうけども。
もう一つの「三聖画賛」は今度は孔子と仏と神道の神官で、こちらは鍋の周りをお茶碗持ってて、「三聖吸酸画賛」と同じことを言おうとしているんだろうけど、「速く食べたいなあ煮えないかなー」としか見えない。いやこの辺は画題のせいなのか。
「頭蓋画賛」は頭蓋骨の絵で、眼窩から芦が生えていて、「よしあしは目口鼻から出るものか」というだれうま系の賛が(そういう風に言わない)。
展覧会ポスターの「指月布袋画賛」はこの章にあった。
ちなみに一番最初にある「自画像画賛」、角の丸い三角。後ろ姿なのだろうな。ちょっと、達磨っぽくもあるのかなあ…。面白いけど、なんとなくしんみり。


第4章「仙厓の人生訓 ―充実した生活のためのハウツー」。
どちらかというと風俗画、なのかな。
「楽しみは 花の下より鼻の下」の「花見画賛」あるし。
あとは七福神系は結構依頼があったみたいで、いくつか。「七福神画賛」、他もにこやかだけど、布袋は一番下で寝てるしね。
「金持画賛」は金じゃなくて鐘持ってるし。
「摺古子画賛」は杓子と擂粉木で、杓子が姑で擂粉木が嫁らしいとか(江戸時代も変わらんのかねえ、この辺)。
「生かそうところそうと」と言葉の下に匙が描かれている「さじかげん画賛」とか。どうやら当時の医者への言葉だそうで。う、うわあ。


第5章「「絶筆宣言」―仙厓の終活」。
ここで「絶筆碑画賛」が出る。まあ、絶筆できなかったんだけどねえ…。
というわけで最晩年の絵になるのかな。
「老人六歌仙画賛」は所謂「老害」にならないように気をつけようね!ぐらいの賛らしいのだが、絵自体はとても朗らかだったり。
あと、仙厓義梵の弟子が描いた「涅槃図」。ええと、中央で伏してるのは仙厓義梵なんだけど、その周りにいるのは庶民の皆様で、どうも近所の方々が集まってきてわいわいやってる感じで。涅槃図なのに。
しかも、仙厓義梵自身が賛を書いてる。…生きているうちに自分の涅槃(亡くなるところ)の絵を描かれて自分で賛を描く、とか。


「特集2 仙厓遺愛の品々」。
ここは仙厓義梵の所蔵していた茶碗とか、石(珍しい石を収集するのが好きだったとか)とか、硯とか。
硯は自分で作成した「箱崎(筥崎)宮島居形陶硯」もあったりして。あ、そうそう、仙厓義梵は福岡の寺(聖福寺)の住職なので、箱崎は身近だったみたい。


第6章「バラエティーあふれる画賛の世界 ―仙厓に描けぬものは無し」。
今までの章に入らない諸々の絵。
まずは故事。
「渡唐天神画賛」=菅原道真飛梅描いてたりするので、おおっとなったり(福岡だから身近だったんだろうか)。
「黄初平鞭羊為石画賛」。なんで黄初平の話がこう何度も…。
morina0321-2.hatenablog.com
絵としては、黄初平が石を鞭で打ったら羊になって、黄初平のお兄さんが驚いてるところなんだけど、このお兄さんも修行して仙人になったのが故事のオチなんだよね。で、賛に「ふたりを鞭で打ったら」どうなるか、という問いかけをしていたりして。仙厓義梵、何を考えていらっしゃるのか。
動物絵もいくつか。「わんきゃん」って書かれてるゆるーい犬の「狗子画賛」とか、「猫に似たモノ」って書かれてる「虎画賛」とか。どうして虎描くといつも開き直るんだ…。
「トド画賛」もあったりする。これ、たまたま近くで漁の網にトドがかかったらしくて、それを写生したそうで。そんなのもあるんだ…。
その他には、「うそ替画賛」も。うそ替=鷽替、主に天満宮の神事なんだよね。これも福岡のひとだから、かもなあ…。木彫りの鷽の絵がとても可愛い。


最後は「特集3 いまだ解けぬ謎」。
「蘭画賛」は、賛で珍しく恋愛について書かれている。詳細は一切不明らしい。なんだろうね…。
「竹画賛」は面白くて、仙厓義梵の絵は存命中から大人気で、その分偽物もかなり出回ったらしく。そこで、わざと適当な竹の絵を描いて対抗したという。…対抗…?対抗なの、それ…。


展示自体はこれで終わりなのだけど。
出光美術館の一角には茶室がある。
idemitsu-museum.or.jp
茶室自体は入れないけど、そこに展示されている物品の説明は出ていて、今回の掛け軸は仙厓義梵「菊画賛」。
賛には「そしるなよ 庭のあたりに きくが花」。「壁に耳あり」をだれうま的に書いてきた!(言い方)


面白かった。満足。
ちょっと展示期間が短いので(保存の問題もあるかと)気になる方はお早めに。


続く。