時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

ボストン美術館展 芸術×力(東京都美術館)

https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_boston.html

この展覧会、ちょっと趣旨が変わっている。ボストン美術館の「権力者がに関わるコレクション」。
あまりない感じなので、とりあえず伺ってみた。
平日に前売りの電子チケットを購入して。まさかこれが後日役に立つとは…。


第1章「姿を見せる、力を示す」。
権力者が自分の力を誇示するための品々。
エジプトのレリーフだったり、装飾品だったり、肖像画だったり、刀だったり。
あ、ボストン美術館は東洋とか日本の作品も相当数保有していて、今回はその辺も来ている。
なので、清時代の官吏の衣装「龍袍」が展示されていたり。色の具合が結構好き。
で、実は最後の方に、ちょっと毛色の違う日本の作品が。
平治物語 三条殿夜討巻」と、吉村周圭「寛政内裏遷幸図屏風」。
この2点、所謂高貴な三条殿=後白河法皇とか、内裏にいる天皇は、御簾の後ろにいて描かれてないんだよね。日本は権力者が「表に出ない」「隠れてる」。なるほどねえ…。解説読まないと気付かないよ…。
あ、そうそう、「平治物語 三条殿夜討巻」は、書かれている文字が「読める」のでびっくりした。昔の文字の書き方だと崩されてて読めなかったりするんだけど、ここまで読みやすいのは珍しくないかなあ。絵の方も、群像なのに一人一人が生き生きと描かれていて、おおっとなる。


第2章「聖なる世界」。
権力者と宗教、という感じか。
西洋は宗教画。エル・グレコ「祈る聖ドミニクス」が気になる。聖ドミニクスの表情がなんかいいんだよね…。
日本は水墨画とか曼荼羅とか大日如来坐像とか経典とか。
玉畹梵芳「蘭石図」はとても繊細でいい感じだった。
で、ここで出てくるのか、二月堂焼経!お持ちだったんですなあ…。眼福。
罪福報応経(中尊寺経)も紺地で金泥・銀泥で書かれていて、更に見返しの絵も美しいという。


第3章「宮廷のくらし」。
宮廷の生活に関わる諸々。例えば、宮廷での生活を描いた絵画とか。
こちらが代表かな。ジャン=レオン・ジェローム「灰色の枢機卿」。
morina0321-2.hatenablog.com
ジャン=レオン・ジェロームというと先日拝見した「ピュグマリオンとガラテア」だけれど、こちらの絵画もぱっと目を引く。
「灰色の枢機卿」はフランス語で所謂「黒幕」を意味する言葉なのだそうで、こちらはその起源となった、フランソワ・ルクレール・デュ・トランブレー(ルイ13世の宰相・リシュリュー枢機卿の腹心)を描いた作品。
一見地味な灰色の衣を纏った人物に、豪華な赤い衣の宗教家や他の人が頭を下げている絵。ジャン=レオン・ジェロームはなかなか面白い絵を描かれますな…。
あとはセーヴル磁器製作所のお皿や花瓶とか。
morina0321-2.hatenablog.com
それから、とても目立つエメラルドとプラチナとダイヤモンドのブローチ。マージョリー・メリウェザー・ポストという女性実業家(食品会社関係なのね)の所有だったそうな。
ちなみに彼女の名前で検索すると、こちらが出てきたり。
ja.wikipedia.org
時事ネタ…(注:こちらの記事の記載日は8/11)


第4章「貢ぐ、与える」。
権力者の贈答品として作られた品々。
こちらでもセーヴル磁器製作所の皿や壺が展示されていたり、エリザベス1世が作らせた「水差しと水盤」があったり。
個人的にはアルブレヒト・デューラーの木版「マクシミリアン1世の凱旋車」の細かさで凄いなあ、と。


第5章「たしなむ、はぐくむ」。
権力者が芸術をコレクションとして育てたり(要はパトロン)、権力者自体が芸術を手習いしたり、というところ。
というか、何故かここにカナレット「サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂、サン・マルコ沖から望む」があったりして。コレクションの一環なのかなあ。個人的には眼福なんだけども。
でもって、「キタラ・バッテンテ」という17世紀のイタリアのギターが。これがもう、物凄い装飾で。象牙に鼈甲に真珠貝を嵌め込みまくっている。ひゃー。
あとはロスチャイルド家とか、イギリスの王妃とか、リンカーンの妻が所有していた宝飾品が出ていたり。
能面と厚板が出ていたり(能は権力者に保護された芸能だものね)。
狩野派が出ていたり。狩野探幽楊貴妃・牡丹に尾長鳥図」はかなり美しかったなあ…。
個人的には「三十六人家集 伊勢集(石山切)」の料紙が大変素敵で良かった。
あ、今回の目玉の1つの「吉備大臣入唐絵巻」はこちらに。これは後白河法皇の周囲で描かれたから、なのか。吉備大臣=吉備真備と、鬼=阿倍仲麻呂の亡霊のファンタジー大作(言い方)みたいで、話としても結構面白い。
吉備大臣と鬼が空飛んでく絵はパロディ絵になってグッズにもなってたけど、普通に本作自体が面白いの、なんだろうね。
「権力者自体が手習いしてた」例は、伊勢長島藩の藩主・増山雪斎(正賢)の「孔雀図」。とても丁寧で綺麗だったなあ。


あまり見ない切り口での展覧会で、それはそれで面白かった展覧会だった。


グッズショップでいくつかポストカードと、お茶を購入。


お茶がパロディ絵のパッケージなんだよね。
上記で記載した「吉備大臣入唐絵巻」(煎茶)と、アンソニー・ヴァン・ダイク「メアリー王女、チャールズ1世の娘」(玄米茶)。あ、「メアリー王女、チャールズ1世の娘」は第1章にあったのだけど、元の絵は凄く顔が大人びていて(6歳の少女を描いたらしいのだけど…)、でもドレスが凄い綺麗だったなあ。
どうでもいいけど、お茶…まあ、紅茶はなかったけど、もしかしてボストンティーパーティー(茶会事件)からの連想だったりします…?(あ)


続く。