時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

丸山コレクション 西アジア遊牧民の染織 塩袋と伝統のギャッベ展@たばこと塩の博物館 2階特別展示室

前回の展覧会の場所から京葉線総武線と乗り換えて、錦糸町駅から歩いた。
錦糸町駅の駅前って結構人が多いのね…(駅から離れればそうでもないけど)。


www.tabashio.jp

展覧会の写真だけでも、書き手が好みそうな展覧会。


ギャッベは、イラン付近の遊牧民が作成して持ち運んで使用していた、草木染めの「毛足の長い絨毯」。
今回の展覧会は個人コレクションからの展示品なのだけど、展覧会の入り口に、ご厚意により「触っても良い」ギャッベが展示されていた。確かに厚みを感じる手触りだった。
赤い色が強いものが多いのだけど、この赤はアカネで染めているそうで。ちなみに媒染材には、樹木のアクとか皮とかも使うけど、ロバの尿とかも使うらしい。生活の知恵だなあ。
長期間使っていると色むら(アブラッシュと言うらしい)もできるのだけれど、それもまた味で。
文様が沢山入っているものが多いけど、(個人的な好みの)幾何学模様だけというよりは、何かを表した文様が並んでいるものが多いかもしれない。植物とか動物(ライオン)とか鳥とか人とか。薔薇の花が並んでいるのもあったなあ。市松っぽい色とりどりの四角が並んで菱形に描かれているのとか、ペイズリーが並んでいるものもあったりした。
個人的には、砂漠を表したような茶色というよりは砂色の地(茶色系はクルミの実の皮やタバコで染めてるそうな)に、ラクダが一匹と、人…というかその…人真っ二つになってませんか?(え)的なのが刺繍されているものとか、赤と紺(インディゴ)で織られていて結果暗褐色になってて凄く素敵だったのとか、赤地の色むらも非常に素敵なところにぽつんと動物一匹とか(恐らく砂漠の上に佇むラクダとかロバ)、シンプルなのもいいなあと。


今回の布製品はギャッベ展示だけではなく。
ギャッベに似た製法で作る絨毯(もう少し丈夫に織られている)。
絨毯として作ったみたいだけどギャッベの織り方で作っていて、ギャッベフィーンと呼ばれているもの。
平織りの布で、ギャッベと同じように遊牧民の生活の品として使われていた(どちらかというとものにかけたりしてたっぽい)キリム。実はキリムの方がストライプだったり、鍵十字(蜂を表していて、悪魔を追い払う意味があるそうな)だったり、幾何学的なものが多くて、デザインが好みだった。多分製法でそういうものが作りやすかったのかなとは思うけど。ちなみにギャッベキリムという、中間的な織物も展示されていた。
キリムより少し大型のジャジム(掛布)、キリムよりサイズが小さいソフレ(食卓布)。デザインはキリムと似ていて、やはり好み。


で、もう1つ、展示会のタイトルにある「塩袋」。
布の質としてはギャッベと同じ織り方で織られているのだと思う、袋。
塩袋(現地だとナマクダン)は人間用というより家畜用なのだそうで。主食の植物に塩分が少なくて、家畜が塩を欲しがるのだそうな。
morina0321-2.hatenablog.com
こちらは、前回訪問時に拝見した常設の塩の展示に描かれていたのと繋がる話だね。狩猟→農作になってから、塩を摂る必要ができたという話と。
それは置いといて、塩袋は1コーナーで複数展示されていて、他にも鞍袋(サドルバッグ、現地だとホリジン)、テント袋(現地だとトルバ)もあって、ええと…すみません、この辺のデザイン大好きなんですが…。


とにかく個人的に眼福な展覧会だった。


ちなみに、1階のミュージアムショップで、恐らく現代の織り手が作成したであろう、カーペットや袋が売られていた。
…流石に買えないようなお値段だったが。数万とか、10万越えのもあったしね。


帰りにソラマチに寄ったら(珍しく普通に買い物してた)、この日一番の人混みで正直精神的に疲れた…。一切体調崩さなくて良かったね…。いや本当に…。