時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

【特別展】竹内栖鳳「班猫」とアニマルパラダイス@山種美術館

www.yamatane-museum.jp

今年2度目、半年振りの山種美術館
事前日時指定予約有(混雑してなければその場でも購入可能)、体温計測有。あ、そうだ、作品リストも地下1階の入り口じゃなくて、受付でお願いして配布して頂く形だった。

第1章「「班猫」と栖鳳が描いた動物たち」。いきなりメインディッシュな竹内栖鳳特集。
今回の目玉の「班猫」は、4年振り公開だそうで、書き手が拝見するのは初めて。毛の書き方が凄い。そしてとても綺麗な翠の目。
他には、燕の羽の色が綺麗な「風かおる」とか、マスコット的なキュートさがある「みゝづく」とか。
「艸影帖・色紙十二カ月」はその題の通り色紙ものなのだけど、今回出ていた「鯛(1月)」「秋郊(10月)」「四十雀(12月)」は全部素敵だった…。他は題材もいいのだけど、何より「鯛」のなんとも言えない淡い色の美しさが。
あと、個人的には、竹内栖鳳は動物も素敵だけれど、それ以外の描写も素敵だと思っていて。なので、「晩鴉」という題で鴉が左下にちっちゃく、だけど風景が素敵なのとか、結構好き。
あ、そうそう、久々に以前拝見した「緑池」を拝見した。やっぱり水の色が綺麗だなあこれ…。


第2章「アニマルパラダイス」。実はこちらの方が展覧会の2/3ぐらいの数だったりする。
なのだけど、これが想像以上に良い感じ。印象をざっと書いていく。

西村五雲。何度か触れてるけど、やっぱり動物の毛書きが綺麗で。今回は数点出ていた。
展示会のサイトにも取り上げられている「白熊」、題材も面白いけど、白熊の毛の具合とか風景とかがなんとも素敵で。

山口華陽。まずは「生」という題材。生まれたばかりの子牛を書いているのだけど、この子牛がなんだかとても綺麗。なんというか、皮膚の感じが凄いいい感じ。
そしてもう一つは「木精」。これは古木と梟を描いていて。梟は華陽が飼っていた梟がモデルらしいのだけど、それが精霊として輝いて描かれている。ただ、個人的には輝く梟よりも、古木の根の静かなうねりが印象に残る迫力で。

「兎」題材だと、奥村土牛が2点書いてたんだけど、パンダウサギ的なのがとても可愛い。
土牛は「栗鼠」もかなり可愛い感じだった。
同じリス題材だと、橋本関雪「霜の朝」。リス自体の毛書きが凄い可愛いんだけど、リスが降り立つ岩とか、木の枝の書き方も素敵で。
そしてその横に、まあ似たような小動物だからと鼠を題材にしている、渡辺省亭「葡萄」が。ちょっと色が褪せてる感じがしたのは気になったけど、やっぱり素敵。

小村大雲。「おむら・たいうん」と読むのですな。初めて拝見した気がする。
「東へ」という六曲一双の屏風絵。何やら移動中の人々と馬と車の絵なのだけど。馬の毛書きがとても細密。車に乗ってる毛皮の毛書きも凄い。人間の表情もなんだか良いぞ。
実は山元春挙のお弟子さんだそうなのだけど、人間の書き方は木島櫻谷に雰囲気が近い気もする(個人的感想だけど)。

今回は現在でも活躍していらっしゃる方の絵がいくつか。
印象に残った絵の1つは西田俊英「舎」。
www.instagram.com
御本人のInstagramにございました。馬がなんとも凛々しく恰好いい。厩舎自体も素敵な描かれ方だ…。
もう1つは青木秀明「エミュー(本当は漢字だけど出ないよ!)ノ図 -飛べない鳥-」。日本画だけど、シルクスクリーンなんだと思う。かなり異彩の美。

前に拝見した絵だと、柴田是真「墨林筆哥」とか、速水御舟「昆虫二題」も出ていたりしたので堪能。


なお、今回は第2室は併設展示の「ローマ教皇献呈画 守屋多々志《西教伝来絵巻》試作 特別公開」で、だいぶテイストが違った。「波乗り兎」は好きだけどね(また動物に戻ってしまった…)。


個人的には竹内栖鳳もいいのだけど、「アニマルパラダイス」がかなりの収穫だった気がする。満足。


そして毎回恒例、和菓子タイム。


竹内栖鳳「艸影帖・色紙十二カ月」の「鯛」モティーフ、「めで鯛」。今回は美麗でなくてユーモアの方にいってしまった…。いやでも、「鯛」は本当に素敵な絵だったしね。
なんか別の沼方面から、若干自棄っぱちなシャウトの幻聴が流れ出したのは気のせいなんだってば(同じくその沼にいる人でないと分からないネタ過ぎる…)