時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵@Bunkamura・ザ・ミュージアム

www.bunkamura.co.jp
昨今の状況により、2日遅れの開幕。開幕したことを喜びながら、開幕日にこんにちは。
前回行った展覧会は、結局すぐ閉まってしまい、そのまま閉幕してしまった。
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落ち着いたら行ける、なんて保証もない。そもそも、ひとの命も永遠じゃない(騒ぎになってる以外で斃れることだってあるんだよ…)。
開けてくれた美術館に、お金も落としたい。
なので、体調も問題ないことを確認して、マスクもして、花粉症の薬も強いのを処方して(それでも花粉症はぐすぐすいってたが)。


ホキ美術館に行ったのは丁度昨年の正月。
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今年の年末年始は行けなかった。昨年秋の水害に遭って、美術館は今でも閉鎖中。
なので、Bunkamura・ザ・ミュージアムでこの展覧会があると知った時は、即座に前売り券を購入していた(この時の)。
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開館できることを本当に祈っている。


さて、Bunkamura・ザ・ミュージアム恒例、入り口の写真撮れるコーナーはこんな感じ。

ここに連れを座らせて写真を撮ると、美人とツーショット的なことになるわけですな。
元になっているのは、今回の展覧会のポスターにもなっている生島浩「5:55」。モデルさんが6時までの約束で、5時55分に帰り時間を見てそわそわしている表情を描いた、という逸話あり。前述のホキ美術館でも観ている。


会場はまずまずの入り(渋谷駅は普通に混雑してた)だけど、そこまで多いって程ではない。Bunkamuraでは少ない方か。
今回は特に章立てしていなくて、作家毎展示となっている。気になった辺りを書いていく。


最初に森本草介持ってきた。セピアかかる美しい写実の絵。肖像画も風景画も。
アンティーク・ドール」はそのタイトル通りに人形のような肖像画にしているのだけど、なんとなく椅子とかクッションも造り物のように見えるのは気のせいだろうか。これはこれで素敵。

野田弘志。ホキ美術館の代表作家の一人。
肖像画を見ることが多かったように思うのだが、今回はポスターの一つにもなった「聖なるもの THE-4(本当はローマ数字)」の鳥の巣と卵とか、「皿と果物 1(本当はローマ数字)」とか、「手吹き花瓶にバラ」とか、静物画が非常に印象に残った。対象物の存在感がとても感じられる。

生島浩はホキ美術館で一度拝見している作品2つ。上記の「5:55」と「card」。好き。

五味文彦。実はホキ美術館で拝見したことがあるのが今回も来ていた「飛行計画 -詩は聞えたか-」で、シュルレアリスム入ってる画家だと思っていた。
「レモンのある静物」の物体の迫力感を見ておお?となり、今回展覧会ポスターの一つにもなった「いにしえの王は語る」とか「木立」とかの木の存在感が凄い。
「あかいはな」は少しシュルレアリスムに傾いてるかもしれないけど、これも好き。コップの中の水に浮かぶ花、蜂、そしてそれ以外の白い空間(空間を描くのが一番大変だったと解説にあった)。

島村信之は「藤寝椅子」の光の差し方が好きなんだけど、ここ数年は甲殻類とか甲虫を描いていらっしゃるのだね。リアルで凄いけど…おお…。

小尾修。「Kay」、純粋に恰好いいなあと。描かれている男性の画家も、異国のアトリエも、光の感じも。
「昨日の雨」の女性の表情も好き。
「雨あがり」は水たまりと鳩、なんだけど…絵のモティーフにしたくなるのが分かるほど「絵になる」構図。水たまりの色合いも凄い。

大畑稔浩。「気配-春」や「剣山風景-キレンゲショウマ」とかは、ちょっと画面が暗くて(でも、晴れていない空の色は本当にこういう色なのだと思う)いまいち好みではないのだが、「瀬戸内海風景-川尻港」が好き。港から延びる桟橋、後光のように山から顔を覗かせる太陽。

原雅幸。スコットランド在住で、写実風景画専門なのだそうで。…あまりに細密で写真のようで、驚く。
実はこの絵に物凄い近づいて観ているお客さんがいらした(そしてあまりに近づいていたので、学芸員さんがちょっと注意しようか悩んでいたっぽいのも見た)。近づきたくなる気持ちも分かる…。どう描いているのか全く分からぬ…。
4点出ていたけれど、どれも素敵で甲乙つけがたい。

安彦文平。「自然への感謝」がちょっと面白い構図。自然の多い風景の中に流れる川の中の大きな岩に、野菜が置かれている。茄子と玉葱とカリフラワーとオクラ、かな。野菜の存在感、置かれている岩の存在感、少し茫洋とした自然の風景と、それが映り込む水面。不思議。

藤原秀一。ホキ美術館で個人的にとても気に入った画家。
ちょっと怖いぐらいに咲き乱れている「ひまわり畑」はよく見ると、奥の方は写実より「絵」に近いかも。
「萩と猫」の萩の可憐な咲き乱れと、もっふもふの猫。
そして「デルフト東門」。建物や木々の写実もさることながら、水面に映り込む景色が…凄いよ…。

冨所龍人。「窓辺」、女性の表情や衣装が強いんだけど、よくよく見ると、妙に後ろにある棚にかかった布や、その上のぬいぐるみや瓶やコップが存在感。そして上にかかっている絵も妙に細かい。窓越しの景色は割とぼんやり描いているんだけど。

山本大貴
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先日の個展も含めて肖像画が多い作家なのだが、今回はなんと静物画「Quiet Night」。珍しい。薔薇の存在感はなかなか。果物はもう少し瑞々しさがあった方が個人的には好みだけれど。

塩谷亮。「光韻」はホキ美術館で観ているはず。13歳の少年の肖像画。光の柔らかい指し方が好き。この少年が年齢を重ねた後の肖像画も描かれていて、実はそれがとても美青年でいいよ(そこか)。
「月洸」は「油絵で竹林を描く」という意欲作。実はNHK日曜美術館」で、岸田劉生の「麗子微笑」を再現する、という企画に昨年参加されていたりもして(下記がその時の作品。本当に可愛い!)、色々な事に挑戦してて凄いなあ、と思ってしまう。


行って良かった。
実は今回、図録買っちゃった。正直に言うと、欲しいポストカード買ってたら図録の方が安かったんだよね…。
藤原秀一の作品はポストカードもクリアファイルも買ったけど。「萩と猫」のA4クリアファイルはちょっとずるいよ…欲しくなっちゃうよ…。

続く。