時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年@国立新美術館+おまけ

www.nact.jp

展覧会のタイトルはもう少し長いのだけれど。日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念で、ブダペスト国立西洋美術館ハンガリー・ナショナル・ギャラリーの所蔵品の展覧会。
ハンガリーの美術なんて全然分からない、ということで、こんにちは。

時期で2チャプターに分け、更にその中で細かく分けるという感じ。


大きなチャプター1は「ルネサンスから18世紀まで」(本当は数字はローマ数字)。
で、実は、チャプター1は殆どハンガリー外の画家。ブダペスト国立西洋美術館が国外の画家の絵を集めた美術館なんだそうで、そこから。国内の画家の絵はハンガリー・ナショナル・ギャラリーから。
で、個人的にはチャプター1はちょっと難しい。あんまり得意じゃない辺りだ…。ネーデルランド(とイタリア)の静物画の章もあったんだが、ちょっとぴんとこなかったり。
グイド・レーニもあったけど素描だったので、明暗が凄い油絵とかじゃなかったしな…。
気になった辺りは以下。

  • 「1-1.ドイツとネーデルランドの絵画」、というか展覧会のトップバッターだったクラーナハ(父)の「不釣り合いなカップル 老人と若い女」「不釣り合いなカップル 老女と若い男」。色香に寄ってくる老人と、老人の懐の財布を探る若い女。若い男に寄ってもらうために金貨を握らせる老女。いきなりネタ系かー(おい)何故だろう、どちらも女性の方が強かな気がする。
  • 「1-2.イタリア絵画」の、フェデリコ・パロッチの「受胎告知」とバロッチ工房で作られた「アッシジの聖フランチェスコのいる受胎告知」。同じ絵だけど、後者は聖フランチェスコを描き込んでるという。それより床に猫が追加されてる!(そこ?)
  • 同じく「1-2.イタリア絵画」、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ「聖ヨセフをカルメル修道会の守護聖人にするよう、アビラの聖テレサに促す聖母」。タイトルは長いけど、とても綺麗な色を出してる。素敵。
  • 「1-6.17-18世紀のヨーロッパの都市と風景」のヤン・アブラハムスゾーン・ファン・ベールストラーテンの「冬のニューコープ村」。曇り空も建物も木もなんだか素敵に描かれてる。いい絵だなあ。
  • 同じく「1-6.17-18世紀のヨーロッパの都市と風景」のフランチェスコ・フォスキ「水車小屋の前に人物のいる冬の川の風景」。ちょっと明るすぎるかな、とは思うけど、建物が素敵。


大きなチャプター2は「19世紀-20世紀初頭」。
「2-1 ビーダーマイアー」おっと?
morina0321-2.hatenablog.com
ということはヴァルトミュラーが…と思ったらあったよ「ウィーンのマクダレーネングリュントの物乞いの少年」って人物画…か…(そこでしょんぼりしない)。
でも、ビーダーマイアーだからか、どの絵も生活品の細部とか衣服とかがとても綺麗に描かれてる。
で、いいなあと思ったのはマルコー・カーロイ(父)「漁師たち」。夕日が綺麗な風景画。そうそう、マルコー・カーロイはハンガリーの画家。この絵もハンガリー・ナショナル・ギャラリー出展。で、だね。ハンガリーって実は最初にファミリーネームが来るので、この画家もマルコーがファミリーネーム。
絵についてる解説だと何気なくファミリーネームのみで呼ばれるので、ハンガリーの画家はちょっと違和感。

「2-2.レアリスム-風俗画と肖像画」。
ここはハンガリーの画家が多いよ。いや、ブダペスト国立西洋美術館由来のルノワールとかピサロもあるんだけど…ちょっと好みでないのよ…。ルノワール「少女の胸像」は割とざっくりというか、習作のような感じなんだよね…。モデルはジュリー・マネ(マネの弟と結婚したベルド・モリゾの娘さん)らしいのだけど、解説に「似てない」って書かれるし…。
むしろこの章はハンガリーの画家を見てあげような感じ。
まずは展覧会のポスターにもなってるシニェイ・メルシェ・パール(シニェイ・メルシェがファミリーネーム)「紫のドレスの婦人」。ドレスも空も草原も美しい。なおモデルは奥様。そしてもう一つ惹かれたのは「ひばり」。女性が裸で草原で寝てるのはちょっとマネっぽいけど、画面が本当に明るい。
でもって「綺麗な奥様を描いた絵」なのが、ベンツール・ジュラ(ベンツールがファミリーネーム)「森のなかで本を読む女性」。草原と、敷物の鮮やかさと、黒いドレスと。

「2-3.戸外制作の絵画」。
ええと、いきなりドービニー「オワーズ川の岸辺、ヴォー島」と、クールベ「オートヴィルのヒマラヤスギ」を並べるのは反則だと思う(あ)うっとり。後者はヒマラヤスギが凄い存在感でねえ。
コロー「クーブロンの想い出」とかモネ「トゥルーヴィルの防波堤、干潮」もいいなあ。
一方、ハンガリーの画家も頑張っている。
メドニャーンスキ・ラースロー「アルプスの風景」または「ラックス山/タトラの風景」は空の色が素敵。
フェレンツィ・カーロイ「小川 2」(本当はローマ数字)は、ピンクの使い方が印象派に影響受けてるのかなあ。

「2-4.自然主義」。
ここで気になったのがノルウェーの画家。アデルスティーン・ノーマン「ノルウェーフィヨルド」と、グドムント・ステネルセン「夏至の夜」。前者は山肌と水面の描き方が好きで、後者は遠くに見える焚火の炎が。
ルイジ・ノーノ「歩く女性」の画面の明るさもいいぞ。
ハンガリーの画家だとチョーク・イシュトヴァーン(チョークがファミリーネーム)「孤児」。全体的に暗い絵なのだけど、描かれている孤児の女の子の表情が気になった。

「2-5.世紀末-神話、寓意、象徴主義」。
いかにも章のワードっぽい感じなのはヴァサリ・ヤーノシュ(ヴァサリがファミリーネーム)「黄金時代」。


額装も作品。
と言いながらも、個人的におっと思ったのはリップル=ローナイ・ヨージェフ(リップル=ローナイがファミリーネーム)「白い水玉のドレスの女性」。絵がモダンで恰好いいのだけど、縦長のキャンバスが凄いボナールっぽいなあ、と思ったら、本当にその後ナビ派に属するんだそうで。

で、「2-6.ポスト印象派」「2-7.20世紀初頭の美術-表現主義構成主義アール・デコ」と続く。この辺は個人的にあまり得意でない辺りではある。
フェレンツィ・カーロイが前の章と2-6.の章に作品を出しているのだが、個人的には「小川 2」の絵が一番好きなんだよね…。


ミュージアムショップではハンガリーのカロチャ刺繍に惹かれまくる。可愛い…。
熟考の末に、カロチャ刺繍のポストカードを購入するに留めたが。


個人的にはかなり面白かった展示なのだが、国立新美術館の展示の割には空いている方で、地下1階のカフェテリアも楽々使えるほどだった。なので、ありがたくお昼を頂いたり、
隣の常設ミュージアムショップをうろうろして溜息をついたり(デザインは素敵だけど、おいそれと購入できる値段でないもので…)。


で、普段は乃木坂駅側から出るのだが、今回は理由あって六本木駅側を出る。

黒川紀章デザインの建物の外観は、六本木駅側から出ないとなかなか分かりにくいものだなあ。
ちなみに建物の前に見えるガラスの東屋みたいなのは、作品だよ。
www.nact.jp
吉岡徳仁「ガラスの茶室 -光庵」(周囲のベンチも作品だったのだね、「Water Block」)。吉岡徳仁東京五輪の聖火トーチもデザインしてる。


で、六本木駅に行く前に、東京ミッドタウンの「FUJIFILM SQUARE」へ。
「日本の美を追い求めた写真家・岩宮武二 京のいろとかたち」を。
fujifilmsquare.jp
小規模の展示ではあるけれど、なかなか。
もう少しするとキャノンオープンギャラリー1でも展覧会があるそうで。少し気にしておく。
cweb.canon.jp


東京ミッドタウン福光屋の日本酒呑み比べに後ろ髪を惹かれつつも耐えて、続く。