時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

松屋創業150周年記念 利休のかたち 継承されるデザインと心展@松屋銀座

あまり用がないので滅多に行かない銀座。今年2回も行ってしまった。
そして人が多過ぎて「みんな何しに来てるの」というおかしなコメントを吐いたりした。

タイトルの前に、実はこちらに寄り道。
store.tsite.jp
書き手がGINZA SIXに行くことになるとも思っていなかった。
写真展示は1つぐらいしかなかったので、ちょっとだけ見て早々に出たのだが(スタバ自体も混雑していて、席なさそうだったし)。

というわけでこちら。松屋銀座の8階へ。
www.matsuya.com
この日一番展覧会の入場料が高い。というより、松濤美術館の入館料が500円で安すぎるのでは、と思うが。*1

リストはないのでメモから。

第一章「利休の美意識と作為」。
利休が集めた、ないし作らせた当時の時代の茶道具。
個人的には花入が結構ツボに。「胡胴桃尻花入」は模様が細かくて、下部に入ってるのは四足獣だろうか、目のようなものがなんだか可愛い。「瀬戸雁口花入」は褐釉が豪快。「備前筒花入」は備前焼らしく、どっしりと。
あとは展覧会サイトにもある「黒中棗」(書き手は棗が好き)とか、「黒樂茶碗 銘 万代屋黒(もずやくろ)」とか。黒樂茶碗はもう一つ、銘「まきはら」もあったけれど、そちらは少し窪みが入っている。個人的には万代屋黒の方が好きかなあ。

そして章の最後に、千利休の現存する茶室「待庵」の図面からの再構成。…としか言いようがない。図面をそのまま建物にしてサイズ感だけ感じられるように、みたいな感じなので。うーん。
これは写真撮影がOK。
その再構成の床の間の再構成のところに、飾られている花入と、一つの枝に花一輪。「千利休作 竹尺八花入 写 白梅」。そしてしれっと「須田悦弘」。
…いやいやちょっと待て。聞いてない聞いてない。こんなところで須田悦弘!?
これ、作品のタイトル見て、なんだ複製か、で終わらせる人多数じゃないのか。飾られてる白梅は造花じゃないぞ作品(花入写も作品だから全部含めて)だぞ!?
いやあ、本当にびっくりした…。写真撮影OKなのも凄い太っ腹だよ…。

第二章「千家と職家 -かたちとこころの継承」。
千利休の後を継いでその後三千家(表と裏と武者小路)ができるまでの、少庵と宗旦の時代の茶道具と、「千家十職」の作成してきた茶道具。
少庵は利休の後妻の連れ子、宗旦はその息子になるそうで。「夜桜棗 少庵好」は、漆を塗られた棗にうっすら浮かぶ桜の花が素敵だし、「四方窯 宗旦好」は、文字通り四角の窯が非常に可愛い。
で、「千家十職」。これ、茶道に詳しくないので初めて聞いた。千家に納める道具を作成する職人の家、なのですな。
塗師中村宗哲、現代と先代が二代続けて女性なのに驚いた。後継の問題があって、女性が代理だったりは結構あるみたいだけど。塗師は個人的に好きな棗を作成してくれるので、目の保養に。後は、釜師大西清右衛門の鶴首釜が可愛かった。
最後の方には茶道具の紹介諸々。笠とか草履とかもあってびっくりする。「露地道具」というらしいが、そんなものまで整えなきゃいけないのね、茶道って。
灰炮烙はどこかで見たなあと思ったら、そうだ、東京国立博物館の本館4室(「茶の美術」)で見た灰器か…。

さて、この後7階へ。下記の企画がやってた。無料。
designcommittee.jp
8階の展示を見た後だと、「8階はあんなに形(利休形という)に拘っていたのに、7階自由だなあ!」となる(あ)
面白いのは、実は展示している中に、十二代中村宗哲の作品があること。現代は十三代、つまり先代の方の茶道具。故人なので生前の作。茶杓を出してたのだが、柄が螺旋になってた。デザインだ!千家十職の役目もあったけど、それ以上に工芸家だったんだなあ…。

そしてそのまま7階の福光屋に行き。

バーカウンターで試飲(?)した後、年末年始用のお酒を1つ連れて帰ったとか。
この写真だと一番左端の「初あげ 純米」を悩んだ末に連れて帰った。
あ、一緒についてきたホタルイカの佃煮も美味しかった…。

*1:建物の豪華さで時々忘れてしまうが、松濤美術館は渋谷区立美術館=公立の美術館だ