時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

MOMATコレクション@東京国立近代美術館

さて。前回の工芸館展覧会にて、MOMATコレクションの入場券をゲットした。
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ただし、入場券の受付のお姉さんは微妙そうに薦めてくれた。まあね、既に15時で、美術館も17時閉館だしね…。
が、幸い、前回の展覧会を16時で見終わった。何とかコレクションも見られるかも、と美術館へ。
なお、今回企画展が高畑勲展だったので、入場時にそちらに入場と間違われそうになったりした(え)まあね、そちら、なかなかの賑わいだったみたいだし。実はあまりジブリがよくわからない書き手。

1室「ハイライト」。
下村観山「木の間の秋」。下村観山の木の幹はどうしてこんなに存在感があるんだろう。そしてその幹に絡みつく蔦、木と木の間から延びる草。

2室「始まりの前」。
文部省美術展覧会(文展)の始まる前の絵、みたい。
狩野芳崖「獅子図」。うわ、獅子というかライオンだ!凄い写実的。
下村観山「ダイオゼニス」。静かに存在感がある絵というか。
菊池契月「名士弔葬」。これは文展に出されている絵(例外の絵は2つあったらしい)。菊池契月の描く人物は本当に端正な絵で描かれてていいなあ…。右側の女性達は美しいし、左側の同輩の方々?も品があるし…。

4室「濹東綺譚」。
永井荷風の小説…の、木村荘八の挿絵。当時相当人気が出たとか。わかる、凄い雰囲気のある絵だもの。
なお、この部屋は普段は版画系ということもあり、濹東綺譚の舞台になっている玉ノ井(今の向島辺り、当時は有名な私娼街)の版画も少し。川瀬巴水「東京十二題 雪に暮るる寺島村」(寺島村が今の向島)の美しさを拝む。

8室「1950s-1960s 掘り起こしたあとに、何が建ったか」。
高度成長期と、それに逆行するような「日本的なるもの」や「伝統」への探求を題材にしたものテーマ、らしい。
工芸館にも作品展示があった濱田庄司「失透釉格子文角皿」「飴釉繩文角皿」とか、千葉市美術館の新収蔵作品展でもミニ特集があった平塚運一「八窓庵雁木橋、奈良」とか。
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10室「自然と季節と日本画」。
東山魁夷「月篁(げっこう)」いきなり凄いのきた…。東京国立近代博物館は基本写真がOKで、NGなものだけNGの記号があるのだが、これ普通に撮影OKなんだよなあ…うわあ…。
山口蓬春「秋」も非常に黄色が鮮やかな秋。
速水御舟「暁に開く花」「白百合」、横山大観「夕顔」(これは写真NGだった)は品がいいなあ。
伊東深水「露」は、あまり女性の顔自体は好きじゃないんだけど(あ)、背景の花と着物がとても綺麗。
で。今回一番うわあああと思ったのが、川端龍子「草炎」。紺地金泥。蒔絵のよう。それでありふれている草花をダイナミックに屏風に。こういう発想ができるのが凄いよ…。蒔絵好きの書き手にはドストライクの絵だし。龍子はもう一つ、「盗心」が出ているのだが、こちらは見つかった盗人の子供が妙にユーモラスでねえ。

先に13室=Gallery4の企画展、「解放され行く人間性 女性アーティストによる作品を中心に」。
あまり得意でなさそうだなあ、と思ったら、藤島武二「うつつ」があって、ちょっと嬉しい。

11室「動くか? 動かないか?」。
11室は普段は現代美術だったりする、のだが。今回は静止画が連続してまるで動画のようになっている、というのを示すために、絵巻が出ていた(企画展が高畑勲展なのでそういう風に絡めたそうな)。最初は意図が読めなくて、絵巻があって首を捻っていた書き手。現代美術だと思ったら、いきなり今村紫紅「絵巻物模写 春日権現記(其一)」があるんだもの。
で、絵巻は更に続き、あれこれは四季の移り変わりが美しく描かれていて結構いい感じだぞ…と思ったら、菱田春草「四季山水」。美しいものを見せてもらった…。
更に川端龍子「角突之巻(越後二十村行事)」。龍子は絵巻だとどうにも画面が小さくて、ハイライトのぶつかり合ってる牛同士の大きさが、ああこれだなあ、と思ったりした。

1時間で観たいものは観られた。いや、それ以上だったような。満足。