時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

伊庭靖子展 まなざしのあわい@東京都美術館

www.tobikan.jp
金曜夜19時ぐらい。…上野恩賜公園に、あまりに人がいなくてびっくりした…。
そう思ったら、東京都美術館の前に何故か人がたむろしていて、それがそれぞれ自分のスマホを見ているという光景が。…怖いよ、集団スマホ閲覧の団体…(あ)

珍しく現代作家の伊庭靖子。美術関係記事を見て作品が気になったので。
現在東京都の美術館は「サマーナイトミュージアム」開催中で、対象の美術館は金曜に21時まで開館してくれる。それに合わせて行ったら、一般は団体料金で入れた!…800円でお安めの展覧会なのに、600円になった…な、なんか申し訳ない…。

元々は写実的な絵を描かれていらっしゃった。静物を写真に撮って、それを元に絵を描くということをしていらっしゃる。
初期はクッションとか寝具。おおお、これはふかふかしたい(え)質感もいいのだけど、光の当たり方が柔らかくて好きかも。

次は器。最初に描いていたのは陶器みたい。陶器の質感。硬質に反射する。
そのうち1つの絵に、複数の器を描き始めて。

で、これは今の画風になるのかな。展覧会のポスターの絵にもなっているもの。
器をアクリルボックスに入れて、周囲の景色が映り込むようにして。
ここまで来ると、描いているのは物質じゃなくて、光なんだろうな…と。最初から、ものより光をとらえるようにしているように思えたけれど。どうだろう。
とても幻想的な絵。
一部、展覧会のために東京都美術館で撮影したシリーズがあり(展覧会のポスターの絵もそう)、こちらは写真OK。
不思議な世界を言われるがままにカメラに収める。


黄色がかって見える方はコンデジ、もう片方はスマホ。書き手のコンデジがなんでこんなに黄色がかるのか(知らんがな)。

最新のシリーズは、器と世界を一部ヴェールで隠しているモティーフ。視線や光を遮ることによる世界、なのかな。

次の部屋はそれとは異なって、版画。シルクスクリーンを使っているから、古い写真っぽいようなそうでないような。
ここまでの作品のタイトルは「Untitled」(+年月)なのだが、このシリーズは「grain」(粒)というタイトルがついてる。その通り、粒状の筆致。
ティーフは風景なのだけれど、どこか不思議。でも素敵。

最後は映像作品。片方は立体視…ごめん、立体視できない…(遠い目)難しい。
もう片方はデプス・マップ(深度マップ)。こちらの方が個人的にはしっくりきたかな。

個人的にはクッションとアクリルボックスと、あと最後の版画が好み。
分かりづらいモティーフではなかったせいか、割と親しみやすかったかも。ひとがいなくて(展覧会的にはいいことじゃないかもしれないが)見やすかったのもあるし。

ミュージアムショップで今回の展覧会のポストカードを購入したら、サマーナイトミュージアム特典で、夜の東京都美術館のポストカードと、今回の展覧会の買わなかったポストカードをおまけしてくれた。太っ腹な…。
しかし、今回の展覧会のグッズとして、写実絵画の本(ホキ美術館の本とかも)がかなり積まれていたのだが、伊庭靖子はそういう写実…に入るといえば入る、のか。

帰り際に夜の東京美術館を一枚。