時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

国立西洋美術館開館60周年記念・松方コレクション@国立西洋美術館

www.nmwa.go.jp

宣伝もかなりやっているので混みそうな展覧会。幸い、国立西洋美術館は夏の金・土は21時まで開館(夏以外は20時)、それで行こう、と。金曜にこんにちは。

「松方コレクション展」。松方幸次郎氏のコレクションした絵画の展覧会。とはいえ…国立西洋美術館のコレクション自体が松方幸次郎氏のコレクションが元なので、実は常設展で観られる絵画が結構ある。ただし、国内外に散逸してしまったコレクションの一部を呼んでいるのは大きなポイント。

国立西洋美術館の展覧会の入り口には大きなビジョンがあって、説明が流れているのだが、今回その裏でモネ「睡蓮、柳の反映」のデジタル推定復元図が。写真撮影もOK。
NHKスペシャルで復元の様子は番組になっていて、個人的にも見ている。面白かったよ。
www.nhk.or.jp

展覧会は、まずはプロローグに国立西洋美術館の常設でもお馴染みのモネ「睡蓮」を置き。
次はロンドン滞在時代に収集したコレクション集「ロンドン 1916-1918」。ロンドンだからか、ラファエル前派のロセッティが2点、ミレイが1点。ラファエル前派は先日展覧会に行ったねえ。
morina0321-2.hatenablog.com
ロセッティの1点とミレイは常設でもお馴染み。
あ、そうそう、何故かここに「神話の一場面」というタペストリーが。これ、もっと先の「北方への旅」のセクションでの作品なんだが。サイズの関係かな。なかなか素敵な。

次のセクションが「第一次世界大戦と松方コレクション」。戦争関連の絵。

次のセクションが「海と船」。松方幸次郎が川崎造船所の実業家だからか。なんとなく先般のバレル・コレクションを思い出したり。バレルも海運業の実業家だったし。
morina0321-2.hatenablog.com
で、ここに置かれるドービニー「ヴィレールヴィルの海岸、日没」。うわーきたー。バレルにしろ松方幸次郎にしろ、ドービニーが心の琴線に触れるのかね。水の画家だしね。
morina0321-2.hatenablog.com
ちなみに三井住友銀行所蔵。いいの持ってますなあ。
あと、チャールズ・ネイピアー・ヘミー「水雷艇夜戦の図」、所蔵が記念艦「三笠」という。なるほどなあ。波の描き方が結構好き。

次のセクションは「ベネディットとロダン」。彫刻セクション。ロダンのごつごつ彫刻がお好きな方にはたまらないかと
なお、国立西洋美術館の前庭の常設「地獄の門」も展覧物としてカウントされていたりする。

次のセクションはパリ滞在時代のコレクション「パリ 1921-1922」。
国立西洋美術館の常設にあるモネ部屋(って勝手に呼んでる)のモネ作品がここに。個人的に常設で大好きなクールベ「波」もここ。その中に、借りてきた海外の美術館所蔵の絵を混ぜ込んでいるので、注意が必要だったり。
個人的には横浜美術館所蔵のクールベ「海岸の竜巻」にやられていたりする。あと、ゴーギャン「扇のある静物」とセザンヌ「調理台の上のポットと瓶」がオルセー美術館所蔵なのだが、結構好き。オルセー美術館からはゴッホ「アルルの寝室」も来ている。「美の巨人たち」でやってたなあ。
www.tv-tokyo.co.jp

次のセクションは「ハンセン・コレクションの獲得」。ハンセン氏からコレクションを購入してるんだね。
今回点数少な目で、しかも各所から借りたものが多いのだが、目を惹く。
コロー「罪を悔ゆる女(マグダレーナ)」とシスレー「冬の夕日(サン=マメスのセーヌ河)」「サン=マメス 六月の朝」の並びは
書き手の最大のツボ。ちなみに三井住友銀行、個人蔵、アーティゾン美術館(ブリヂストン美術館が改装して新しくなる予定の美術館)所有。
モネ「ラヴァクールのセーヌ河」(個人蔵)「積みわら」(大原美術館)、ピサロルーアンの波止場」(三井住友銀行)もいい。
しかし、三井住友銀行、ちょっといいの持ちすぎなような。どこかでコレクション出さないのかな(三井記念美術館は国内美術だからジャンル違うよね)。

次のセクションは前述した「北方への旅」。
アールト・ファン・デル・ネール「オランダの冬景色」が結構好きだなあ。アールト・ファン・デル・ネールは17世紀のオランダの画家。割と写実主義だからか、こういう風景画は好みみたい。ティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵(正確にはカルメン・ティッセン=ボルミネッサ・コレクションだけどその辺の事情はうぃきぺでぃあって頂ければ)。
あとはゴーギャン「籠の中の花」(個人蔵)とか。…ゴーギャン静物画が単純に好みなのかもしれないなあ。
そうそう、大原美術館所蔵のムンク「吸血鬼2」「女」が、ああこれがNHK日曜美術館」であった荒れてた時代のムンクの絵なんだな、と(え)
www4.nhk.or.jp

次のセクションは「第二次世界大戦と松方コレクション」。戦争から松方コレクションを避難させようとしてた時代。
国立西洋美術館常設で結構好きなルノワールアルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」がここに。
で、ここの特別出品、マネ「嵐の海」。ベルン美術館所蔵なんだが、これが元々ナチス政権の略奪絵画なんだよね…。そしてとても個人的に好きな絵。
→追記。「嵐の海」、国立西洋美術館が購入したそうで。
bijutsutecho.com

で、最後にエピローグでモネ「睡蓮、柳の反映」の本物。
…ここまで修復したのも凄いんだろうなあ…。鮮やかな睡蓮の花が残っているのもポイントなのかもしれない。

思った以上にいい展覧会だった。
展覧会ポストカードが少な目だったのが少々残念ではあったけれど…他美術館所蔵のは作りにくいかな、と思ったら、ゴーギャン「扇のある静物」だけあったけど。謎。

そして続く。