時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

山元春挙 大明神と呼ばれた画家@名都美術館

それは毎回見ているNHKの「日曜美術館 アートシーン」。
だいたいは開催を知っている展覧会で、アートシーンだと展覧会の一部を映像で見られるので参考にしているのだが。
存じ上げなかった、好きな画家の展覧会がある、と聞いたら。

そりゃあ行くよ、愛知まで(別趣味も絡められたので余計に)。

というわけで朝早くの新幹線で名古屋着。名都美術館はここから地下鉄東西線リニモ
地下鉄に乗る前に、地下鉄一日乗車券をゲット。740円。
なお、5/27(月)から一日乗車券が24時間券になったりした。何故だ、何故早く売ってくれないんだ…(翌日の朝も地下鉄使う予定だった)

というわけで初の名都美術館。

来訪は初だが、名前を聞いたのは約1年前。
morina0321-2.hatenablog.com
林美術財団という、元々は林テレンプという企業が設立した美術財団の私立美術館。所蔵品もかなり好みの上に、今回の特別展だものね。
なお、前期後期総入れ替えで、今回は後期。先に知っておけば前期も…!

入館して、なかなか品の良さそうな枯山水式庭園を横目に廊下をいくと、いきなり左手に大作「畢波羅窟」。元々は蘆花浅水荘山元春挙の別邸)に飾られてるのかな。
で、右側のトイレの向かいの小部屋にも作品が。そこに置かれているのは陶器。え?これは存じ上げなかったのだが、山元春挙膳所焼の復興に関わってたんだね。絵付されていた作品がいくつか。個人的に悪くないなあ。「四方手付花入」とか「せきれいの絵茶碗」とか。
更に驚いたのは、奥に飾ってあった「海景図」。なんと、油絵。元々西洋画も学んでいた方なのだが、水の感じが山元春挙日本画を想起させるのが、なんとも素敵。

さて、本筋の順路に戻って、ここからが本番の日本画
特に章立てて展示してない(図録は章立てしてるんだけど、展示は章立てしないポリシーだそうで)ので、ここからは箇条書きで。

  • 最初の方に配置されている「西王母之図」は人物(西王母は人じゃなくて女神だけど)画。気品があっていいですなあ…。
  • 瑞西の絶景」。雪景色。書き手がドハマリする水が関連する絵ではない。が、木々の佇まいと、山が美しい…。
  • 「武陵桃源図」と「春夏秋冬」が並んでいた。至福。「武陵桃源図」は水がとにかく美しい。「春夏秋冬」は、春の絵が湖畔から見る山、なのかな。勿論水も素敵なのだが、春夏秋冬それぞれの色が何とも言えない。春秋の霞み方の違いとか、夏の灼けた山肌とか、勿論冬は雪に揺れる松で。小さく人の息遣いが見える(秋は小さく人が歩いている、冬は人の暮らしていそうな小屋が合間に見える)のがまたいい感じ。
  • 「富士二題」。春霞の先に聳える富士。実りの色に輝く小屋と木、そして空の合間に、クリアに姿を見せる富士。
  • 「主基地方図」。これは下の記事で話題にした、昭和の大嘗会で選んだ「主基」の屏風図の元なんじゃないかな。後期は秋と冬。春と秋も見たいよね。屏風図の方も、原画の方も。

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  • 「黒部写生」。写生でこれだけ完成度高いの…?という。着色もしてる。
  • 「雪中老杉図」「山村密雪図」。今回思ったのは、雪の描き方も結構ツボなんだなあ、という。
  • 「不老長春図」。薔薇を描かれているのだが、なかなかに美しい。もっと他も見てみたい。
  • 「四海青波図」。波と言っても荒れていない、規則正しく揺れるような、緑青の波。
  • 「高嶽爽気図」。手前の水の美しさよ。遠くの山の美しさよ…。


素晴らしくて、春挙の緑青の水に沈んでしまいたいような展覧会だった(危険)
実は大半が、現在色々再開が難航している滋賀県立近代美術館所蔵なので、できればちゃんと落ち着いて再開するなり、また別の場所で所蔵品で展覧会してくれるなり、あるといいなあ…。

名都美術館自体も、小さいながらも個人的にはツボなので、また再訪したいですなあ…。