時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

印象派の旅 海運王の夢 バレル・コレクション@Bunkamura ザ・ミュージアム

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_burrell/

バレル・コレクションはイギリス・グラスコーにある美術館。美術館に名が冠されている、ウィリアム・バレルという、海運業で成功された実業家のコレクション。
なお、グラスコーにコレクションを寄付した際の条件の一つが、「国外に持ち出さないこと」。…今回普通に持ち出してる…(あ)まあ、美術館が改装している間に、国外不出のものを特別に国外で展示しよう、となったようで。改装にもお金いるしなー(あ)
実は国内5会場で巡回展示。今回は東京。

印象派」って展覧会のタイトルについていて、もしかしたらそれで(平日なのに)お客もそこそこいるのかな、と思うのだが、あまり印象派という括りを感じない。
ウィリアム・バレルという方の嗜好は凄く反映されていそう。
しかも個人的にはこの好みが嫌いじゃなくて、話合いそうだなーって思った展覧会(え)

最初にゴッホが描いた、画商アレクサンダー・リードの肖像画が。彼がいたからこそのバレル・コレクション、なのだね。

第1章は「身の回りの情景」。室内画。
「1-1 室内の情景」は人物画。個人的には人物ががあまり好みでないのだけど、なんというか、全体的に非常に落ち着いた色調。
「1-2 静物」は静物画。これが個人的にツボ。アンリ・ファンタン=ラトゥール「桃」「春の花」、ペプロー「コーヒーとリキュール」、クールベ「アイリスとカーネーション」「リンゴ、洋ナシ、オレンジ」、そしてマネ「シャンパングラスのバラ」。公式にマネとファンタン=ラトゥールはあるけど、マネは実物見た方がいいかも。背景の光の差し具合とか、本当にいい。

第2章は「戸外に目を向けて」。
「2-1 街中で」は街と人の風景。アーサー・メルヴィルの技法が面白い。水彩でたらし込み使用。「グランヴィルの市場」は結構好きだなあ。あ、そうそう、展覧会のアイコンにもなってるドガ「リハーサル」はここに。
「2-2 郊外へ」で自然が多くなってきた。アドルフ・エルヴィエ「鶏のいる村の道」、アドルフ・モンティセリ「庭で遊ぶ子どもたち」「初めてのブドウの収穫」、アントン・ムーヴ「荷馬車による薪運び」「牧草地の乳牛」、ジョルジュ・ミシェル「嵐雲」辺りは、あまり馴染みのない画家なのだけれど、個人的に結構なツボに。
そして馴染みのある、コロー「フォンテーヌブローの農家」、ミレー「羊毛をすく人」もツボ。
逆に、シスレー「村の通り、モレ=シュル=ロワンにて」とかルノワール「画家の庭」とか、画家が好みの割に、いまいちハマらなかった。
で、もう1つ触れたいのだけど、それは次章で。

第3章は「川から港、そして外洋へ」。
海運業をなさってた、ということもあって、バレル・コレクションには川や海モティーフの絵が多い模様。
「3-1 川辺の風景」は川メイン。今回、ウジェーヌ・ブーダンの絵が最初の章から何点か出てる、んだが、この章から凄くいいのが出てきてる。元々外光派に属しているし「空の王者」と賛辞されている画家だそうなので、ここから本領発揮なのかも。「トゥーク川の橋のたもとの洗濯女」「トゥーク川土手の洗濯女」どちらもいい。
で、実は前章からいい!と思ってたのは、ドービニー。前章の「牛のいる風景」、そしてこの章の「ガイヤール城」「オワーズ川の岸辺」。…本当にね、なんでドービニー展行ってないんだろうね、と(あ)6月末までなので、どうにか都合つけたいなあ。
「3-2 外洋への旅」。海モティーフ。これが最後の章なんだけど、この展覧会の章立て、楽しいなあ。どんどん外へ外へ出ていく感じ。そして、ここだけ写真OK。
まず一番最初にいいなあ、と思ったのは、ウィリアム・マクタガード「満潮」。砂浜と海だけの絵なのに、波の複雑さが凄い好き。ポストカードにもなってたので多分評判いいんだろうなあ。
でもって、ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー」「トゥルーヴィル、干潮時の埠頭」「ドーヴィル、波止場」と3点。コロー「船舶(ル・アーヴルまたはオンフルール)」も好き。で、ここにクールベ「マドモアゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド」がある。クールベ肖像画、初めて見たかも。

最後が海だからか、とても開放感良く終わる展覧会だった。